今年の種鶏導入を下方修正 震災、AIの影響で

(社)日本種鶏孵卵協会(山本満祥会長)は5月10日、通常総会終了後に、レイヤーとブロイラーの臨時素ひな計画生産検討会を開き、今年2月の種鶏導入調査結果公表後に発生した3月11日の東日本大震災で、東北地方が多大な被害を受け、種鶏導入計画にも変動が見込まれるため、種鶏導入羽数と素ひなの出荷見込み羽数を下方修正した。

〈レイヤー〉

平成23年のレイヤー種鶏の導入計画羽数は、28の孵化場からの報告で前年比10.3%減の102万730羽の見込み。これは2月の調査に比べ4万3280羽の下方修正となった。
地域別では、前年比の減少幅が最も大きかったのは九州の26.1%減(5万5000羽減、4万4800羽の下方修正)で、次いで中四国の15.7%減(5000羽減、3000羽の下方修正)、北日本の10.5%減(9700羽減、3300羽の下方修正)、関東甲信越の9.0%減(5万2065羽減、8326羽の下方修正)。中部は2.1%増(4780羽増、7080羽の上方修正)の見込み。
卵殻色別種鶏の導入では、白色卵は前年比13.8%減(4.3%の下方修正)、褐色卵は6.8%減(3.5%の下方修正)、ピンク卵は4.1%増(7.8%の下方修正)で、シェアは白色卵61.0%、褐色卵28.5%(1.0%の上方修正)、ピンク卵10.5%(1.0%の下方修正)となった。
調査のカバー率(89.0%)と昨年の種鶏導入実績を基にした今年の全国ベースの種鶏導入羽数は、前年比11.3%減の113万5000羽と見込まれ、2月の調査に比べ7万羽の下方修正となった。
種鶏1羽当たりのひなの生産羽数などから今年の素ひな生産能力を試算すると、年間孵化羽数は約1億486万羽(693万羽の下方修正)、うち出荷羽数は前年比10.2%減の9659万羽(738万羽の下方修正)。コマーシャルひなのえ付け羽数を4月以降、前年並みとして1億94万羽と仮定すると、年間では約435万羽のひな不足(2月の公表時は約214万羽の余剰)が見込まれ、需給はタイトになる。

〈ブロイラー〉

平成23年のブロイラー種鶏の導入計画羽数は、57の孵化場からの報告で前年比3.4%増の508万4222羽の見込み。これは2月の調査に比べ37万4356羽の下方修正となった。
地域別では、前年比の増加幅が最も大きかったのは中四国の9.0%増(5万4900羽増、3万9250羽の下方修正)で、次いで九州の4.1%増(10万2360羽増、24万7490羽の下方修正)、東日本の0.6%増(1万1700羽増、万4450羽の下方修正)。
羽色色別種鶏の導入では、白色羽系は前年比4.0%増(8.3%の下方修正)、有色羽系は25.2%減(12.3%の下方修正)、地鶏系は12.9%増(12.9%の上方修正)で、シェアは白色羽系97.5%(0.1%の上方修正)、有色羽系1.5%(0.1%の下方修正)、地鶏系1.0%であった。
調査のカバー率(94.2%)と昨年の種鶏導入実績を基に推計した今年の種鶏導入羽数は、前年比3.0%増の537万3000羽で、2月の調査に比べ45万6000羽の下方修正となった。
今年の素ひなの出荷羽数は約7億羽強(2月の公表時は7億2692万羽)と見込んでいるが、(1)種鶏の素ひな生産能力は、昨年の急激な気象条件の変化などによる受精率の低下や種鶏の変動などで一時的に落ちたといわれて、その影響は今年6月ごろまで続くと見込んでいること(2)2月以降の鳥インフルエンザ発生による移動制限などで、種鶏や種卵の廃棄、東日本大震災で被災した東北地方での種鶏の減少、種鶏用飼料の供給難による受精率の低下などの影響も、6月ごろまで続くとみられること(3)復興が進む東北地方を中心にえ付け意欲が高いといわれるが、前年を上回るえ付けに対してひなの供給は追いつかず、不足感はしばらく続くと見込まれること――など、不透明な要因が多いことから、え付け予想とひなの過不足の表は公表せず、7月の素ひな計画生産検討会でまとめることにした。

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