12月卵価も堅調予想 年間平均は170円前半の水準か

11月の鶏卵相場(東京・M加重)は、堅調な需給が続き、6日、14日、26日の3回にわたって各5円上昇するとともに、14日以降は東高西低の相場に転換し、月間平均では219円(前年195円)と10月に続き2か月連続で前年同月を上回った。冬の寒さが本格化し、鍋物需要も盛り上がる季節を迎え、小売りを中心とした引き合いが強まったことで上伸したもの。

今秋の鶏卵相場は、台風15、19号などの自然災害が年末の需要期を控えた東日本の生産・流通現場を襲い、鶏の斃死や産卵率の低下、設備の損壊など予想を上回る被害をもたらしたを契機に、量販店などが引き合いを強めたことで上昇。

10月には消費税の増税があり、居酒屋や中小の飲食店、ファミリーレストランなど客単価が高めの業態には、天候不順も加わって厳しさがみられた一方、ファストフードは増税対応もあって全体としては堅調に推移。10月の月間平均は5か月ぶりに前年同月を上回る204円となり、前年3月以来19か月ぶりに200円を超えた。

年末年始については、近年は働き方改革や人手不足の影響で、休業する小売店や飲食店が増え、休む店舗が多いほど滞貨玉も多くなるため、止め市と初市の価格差が大きくなる可能性を懸念する関係者も。加工関係の需要も盛り上がりを欠いている。ただ、小売り関係は好調で、特売需要も強い。食品スーパーの間では、12月分の荷の確保もできているとする声がある一方、鶏卵流通各社からは「売り上げを確保するために特売をしたいスーパーも多い中で、注文に応じられるほどの荷の確保は難しい」とする声も。

生産面でも、成鶏更新・空舎延長事業の発動や、昨年と比べたえ付け羽数の減少などが少しずつ寄与し始め、全体として荷は順調に流れている。

相場も年末に向けて、徐々に上げていくとみられるが、年間平均では170円台前半にとどまり、前年(180円)割れは避けられないとみられる。ただ、心配される年末年始の滞貨玉については、昨年より減少するとの見方が強まっている。

11月28日に東京で開催された青森県養鶏協会と首都圏の流通関係者の意見交換会(詳細は次号)でも最近の需給状況が報告され、年末に向けての稼働羽数は、ひなえ付け羽数が年初から減っていることもあり、昨年に比べて11月は1~2%、12月は3~4%少ないとの見方が出された。さらに、年明けの初値も2019年ほどの水準には下がらないのでは――と予想する関係者も。一方、産地側からは「今年の低卵価では厳しい」との率直な声も聞かれた。