中期経営計画17-19達成に向けまい進 昭和産業が業績概況などで会見

新妻一彦社長

昭和産業㈱(新妻一彦社長―本社・東京都千代田区内神田2-2-1)は2月7日、東京都千代田区丸の内の日本工業倶楽部で食品関係19専門紙誌と会見し、新妻社長が2019年3月期第3四半期の決算概況と、中期経営計画17-19の進捗状況を明らかにするとともに、各事業部門担当者が原料、製粉、油脂、糖質、食品、飼料畜産の概況などを説明した。

会見には新妻社長のほか、太田隆行取締役専務執行役員、山口龍也同常務執行役員、国領順二同常務執行役員、小河原賢二執行役員食品部長、荒川謹亮同油脂部長、駒井孝哉同製粉部長、塚越英行同経営企画部長、寺井健糖質部長、阿部健太郎飼料畜産部長、伊藤大祐原料部長、村田吾大海外事業部長、小山征信営業企画部長、久慈貴也経営企画部コーポレート・コミュニケーション室長、陶山真吾営業企画部次長らが出席した。

阿部健太郎飼料畜産部長

2019年3月期第3四半期の決算概況を説明した新妻社長は「当期の連結の売上高は1948億200万円で、前年同期比177億3900万円(10.0%)の増収、営業利益は73億5300万円で同19億1100万円(35.1%)の増益、経常利益は85億1100万円で同21億5500万円(33.9%)の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は60億6500万円と同18億1400万円(42.7%)の増益となった」とするとともに、通期の業績は昨年11月2日に公表した「連結売上高2600億円、連結営業利益79億円、連結経常利益91億円、親会社株主に帰属する当期純利益は63億円」との予想に変更はないとした。

昭和産業が90周年を迎える2025年度にありたい姿(長期ビジョン)を示した『SHOWA Next Stage for(ネクストステージ・フォー)2025』の実現に向けて、第1ステージに位置付けた中期経営計画17―19の進捗状況については、「基盤事業の強化として、主力工場である鹿島工場の製油工場、糖質工場、荷役設備などに約60億円の大型設備投資を行ない、製油の生産効率向上、糖質の機能性商品の生産能力向上、穀物原料荷役効率の一層の改善を図る。事業領域の拡大では、ベトナムの経済発展に伴う需要拡大に対応するため、昨年11月にプレミックス製造の新会社を設立し、工場を建設しており、売上高の海外比率を高めていきたい。社会的課題解決への貢献では、働き方改革による生産性の向上に引き続き取り組んでいるほか、多様な価値観を有する幅広い人材の活躍でイノベーションを創出し、グループの持続的成長を図ることを目的に、18年10月に『ダイバーシティ経営宣言』を発表した。また、2019年4月から、独自の技能認定制度『天ぷらに関するマイスター制度』(初級、中級、上級)を導入、1960年に世界で初めて家庭用天ぷら粉を発売したパイオニア企業として、日本の食文化の継承と発展に貢献していく」と説明。

そのうえで「今後も小麦、大豆、菜種、トウモロコシなどの穀物を基盤に、全方位から物事を観察してお客様の多様なニーズに応え、様々な課題に対する解決策を提案させていただき、昭和産業グループならではの複合系シナジーソリューションを推進して、今年4月からが最終年度となる中期経営計画17―19達成に向けてまい進していく」と強調した。

原料部、製粉部、油脂部、糖質部、食品部、飼料畜産部の概況説明で、飼料畜産情勢を報告した阿部部長は、飼料穀物や配合飼料生産、国内の畜産物価格、最近の畜産物輸出、豚コレラの動向などを説明するとともに、「人々の健康で豊かな食生活に貢献するとのグループの経営理念の下、安定的な飼料原料確保と、安全・安心・安定供給を目指して取り組んでいる。国産飼料用米の昨年の使用量は、国内全体としては減少したが、わが社では前年並みを確保した。国産飼料原料100%のこだわり卵『和のしずく』や、国産飼料米を使った『お米のちからプラス』など、関連会社を含めたネットワークで鶏卵の販売と、養鶏用飼料の拡販につなげたい。

また今年4月RD&Eセンター(千葉県船橋市)内の基盤技術研究所に移し、飼料畜産科学研究室として組織することにしており、これによって、これまで培ってきた飼料畜産分野の技術と食品開発の技術のシナジーを追求し、既存の枠組みを超えた広範な事業領域を開拓することで穀物ソリューションカンパニーとして、より付加価値の高い製品・技術を顧客や消費者に提供していきたい」などと述べた。

会場では家庭用新商品のデザート用ミックス粉『もちぷっち』や、『もちもちパンミックス』『野菜のだしがきいてるから揚げ粉』を使った料理の試食に加え、グループ会社の昭和鶏卵㈱もグループのブランド卵などを紹介した。