需要に見合った生産を! 日本養鶏協会が「鶏卵需給見通し」発信

(一社)日本養鶏協会(齋藤利明会長)は、このほど計画的な鶏卵生産を促すための「鶏卵需給見通し」をまとめ、会員や鶏卵生産者経営安定対策事業参加者に発信した。今後の飼養羽数の増減予定などのアンケートへの協力も求めている。

鶏卵需給見通しは、令和2年度鶏卵生産者経営安定対策事業の新規「需給見通しの作成」の取り組みに基づき、8月5日に鶏卵生産者、卸売業者、加工業者、小売業者などによる検討委員会で内容をまとめ、9月1日の同協会理事会で了承したもの。

内容は、①国内の鶏卵をめぐる情勢②鶏卵の消費動向③鶏卵の供給動向④鶏卵の価格動向⑤輸出の動向⑥今後の需給見込みについて(短期需給見通し、長期需給見通し)――の6項目。

このうち、短期需給見通しでは「新型コロナウイルス感染症の影響で、家計消費用は前年比105~110%での推移が見込まれるが、業務用(外食)は前年比80%で推移し、大幅な回復は見込めない。加工用は凍結卵の在庫過剰で年内の製造は抑制傾向が見込まれる。これらを踏まえた令和2年度の鶏卵全体の需要量は、最大で前年比1割近く減少する可能性もある一方、今後も内食需要の継続が期待できるため、業務・加工用の需要減の影響が緩和される余地もある。生産面では、令和2年1~6月のひなえ付け羽数が前年同期を上回り、今後も供給過多の状況が続くことが想定されるため、今後は個々の生産者の判断で、ひなの導入や、成鶏の羽数を可能な限り抑制し、需要に見合った生産に取り組んでいく必要があると考えられる」としている。

長期需給見通しでは「人口減少で2030年の全体の需要量は令和元年より約2.5%減少するが、生産量は過去のトレンドを踏まえると約3.1%増加する見込み。このような状況下では鶏卵価格は大きく下落し、価格差補てん事業や成鶏更新・空舎延長事業が恒常的に発動し、生産者の経営安定が図られなくなるおそれれがある。今後、鶏卵の持続的な生産を維持しながら需給の緩和を解消するには、鶏卵の国内の需要拡大に加え、さらなる輸出拡大に積極的に取り組むとともに、国産粉卵の課題を整理したうえで商品化を追求していくことが適当である」としている。