平岩熱学グループ 平岩マシナリーから『手羽中半割機』発売 手羽中を日本市場に合わせ「断ち割る」

九州・西日本エリアを拠点とし、食鳥処理場のチラーシステムや冷凍冷蔵庫で高いシェアを持つ㈱平岩熱学(竹之下主税〈ちから〉社長―本社・鹿児島県出水市)。2022年からは「生産機械事業部」を㈱平岩マシナリー(同/同)として独立させ、自社と欧米各社の食肉機器などを販売している。今年3月末には、手羽中を縦半分に切る新製品『手羽中半割機』を大手インテに納品。他社からの問い合わせも日々増えているとのことで、竹之下社長に話を聞いた。

――手羽中半割機はどのようなマシンですか。

製造ライン川下の特殊刃が連続分割

竹之下主税社長 昨今の食鳥業界では、もも・むね肉以外のパーツで利益を出すことが課題の一つですが、細かい部位ほど取るのが手間で、手羽中もその一つです。たとえば量販店に卸すには、同部位を縦断するように走る2本の骨と骨(とう骨と尺骨)の間を人手で切る『半割り』の作業が必要。数をこなすとなると、大変な負担です。ここに手羽中半割機を導入すると、作業者はキャビティ(縦穴状の容器)に手羽中を差し込むだけでよく、あとはライン下流にある特殊刃が安全・確実に分割。作業者が慣れれば1分間に50本を投入でき、半割品100本が完成。大型モデルの場合は最大12人が働けるため、50×12で同600本、つまり1分間に計1200本を生産できます。

電源さえあればどこにでも設置でき、作業者は手羽中の上下左右を考えず、ただ穴の中に入れ込めば良いだけ。もちろん半割機のスピード調整も簡単。午前中勝負で一気に処理したいとのニーズもありましたから、それぞれに合ったモデルを選んでもらえればと思います。

なお手羽中半割機は、提携先のJBTマレル社(米国)が持つプライムブランドのマシンを基に、当社が日本向けに安全性、作業性、衛生面を向上させたステンレス製になります。

――JBTマレルというと、食肉機器大手2社による新会社でしょうか(本紙3月5日号既報)。

竹之下社長 そうです。当社グループは長年にわたりJBT(ジョンビーン・テクノロジー)の販売代理店で、鶏肉カッターからフリーザーまでを幅広く取り扱ってきました。互いに厚く信頼し、約3年前にはJBT側が上海に構えていたテストセンターを当社内に移転させたほどです。マレルさんとの合併後も信頼関係は変わりません。合併会社内のプライムブランドにしても、かのカーネル・サンダース氏に発注を受け、KFC専用の『チキン切断加工機』をつくったほどの実績があります。

――手羽中を半割りにする機械は他にないと。

内部で骨伝いに割るユニーク設計で頑丈

竹之下社長 実は、同様に半割りできる優秀な機械が国内で開発され、使用されていると聞いておりました。当社が扱う機械は手羽中の上下・前後方向を気にせず、ただ穴の中に入れるだけなのに骨に沿ってきれいに分割するという〝不思議な設計〟になっています。手動テスト機で何回も試されたお客さまは「歩留もスピード感も文句なし」「これほど作業効率が上がるとは…」と高く評価され、一気に導入決定となりました。

――価格は応相談と聞いていますが、一度、実機を見たい関係者も多いと思います。

竹之下社長 我々としては、お客さまの要望に合わせたモデルと付帯設備の提案を経た上で、価格面の話ができればと考えております。デモについては、もちろん鹿児島のテストセンターで受け付けますし、鶏病リスクの低い夏場であれば、実際の納品先での視察も当社が調整します。シンプルがゆえに頑丈なマシンで、事故防止カバーを取り外せば発泡洗浄や高圧洗浄も容易。モーターとベアリングの定期点検、特殊刃のメンテナンスで、かなりの長期間にわたり活躍できるでしょう。

なお手羽中を半割りにした部位は「チキンスペアリブ」として人気のある商品になります。ただ、ほとんどが手切り・手割りしている関係で、需要があっても人手が足りず、対応しきれていない。多くが断っていると聞きますし、付加価値を付けて販売できるのに、もったいない。このタフでカット性能に優れる手羽中半割機を通じて、チキン業界の皆さま、そして日本の食市場に役立てればと思っています。

――ありがとうございました。