米国の卵価再び1ドル割れ、加工卵は歴史的低水準 アーナーバリーが報告
生産者は羽数抑制に注力
米国の各畜産物の指標となる相場や市況情報を提供しているアーナーバリー社は、米国の卵価が1ドルを割り込んだことを6月26日のレポートで報告した。
レポートによると、全米の卵価の指標とされる同社の中西部ラージサイズ価格は、米国民がスーパーに殺到した春先の3月26日に、史上最高値の1ダース当たり3.09ドルをつけた。ただ、直近ではスーパーの引き合いも平年並みに戻り、6月第2週の同価格は5か月ぶりの安値水準となる0.81ドルまで下がったとのこと。気温が上昇し、消費者がより冷たい朝食を好むようになったことなども、需要低迷の要因として挙げている。
このような時は通常、特売が実施されるが、本紙6月5日号で米国ローズエーカーファームズのグレッグ・ヒントン氏が紹介した、カートン(鶏卵パック)の不足がネックになっているとのこと。現状でも、カートンを注文してから届くまでのリードタイムが、一部で6~8週間に伸びており、カートン不足が特売の足かせになる状況は「夏から、あるいは秋まで続く可能性もある」との関係者の声を紹介している。
加工卵の価格についても、全液卵は4月に、史上最安値の1ポンド当たり0.08ドルまで下落。5月には飲食店などの営業が徐々に再開し、在庫を補充する動きが出たため、0.3ドル前後まで上昇したが、その後は伸び悩み、6月第2週までの6週間は、5年平均を50%下回る0.32~0.35ドルの範囲で推移しているという。乾燥卵はいずれの種類も、この1年間で最も安い水準にあるとのこと。
各生産者は、外食需要の復旧が見通せないことから、羽数の抑制を中心とした生産調整に動き始めている。全米の採卵鶏飼養羽数は、昨年末に報告された史上最高の約3億4228万羽から、6月1日現在は2017年11月と同水準の約3億1980万羽まで減少。5月の採卵鶏ひなふ化羽数は前年同月比・前月比ともに13%減となり、5月としては過去5年間で最も少ないふ化羽数となったという。
ブロイラーも減産
ブロイラーについても、生産者が種卵のセット数を3月後半から4月前半にかけて10%減らしたことから、6月第2週の羽数は、前年同期を3.6%下回っているという。
減産が必要な理由としては、鶏卵と同様にスーパーの需要が落ち着き、バイヤーが他のたんぱく源に目を向け始めたことや、外食需要と輸出需要の低迷、需要が減退する夏場を迎えることなどのほか、一部の処理場で新型コロナウイルスの発生により処理が停滞したことから、5月以降は平均生体重が過去最高レベルにまで重くなっていることも挙げられている。これにより、RTC(レディ・トゥ・クック)生産量は、過去最高の昨年を上回る勢いとのこと。もも肉とレッグクオーターの在庫は前年同期より約45%多く、冷凍庫は満杯になっているという。