チキンの『首小肉取り機』を開発 前川製作所 24年4月を目途に量産化
㈱前川製作所(前川真社長―本社・東京都江東区)は、チキンの『首小肉取り機』を開発し、2023年11月から販売を開始した。24年4月を目途に量産体制を整える。
チキンの首周りの部位である首小肉(せせり)は、1羽当たり20~30グラムしか生産できず、希少性が高い。前川製作所は1990年代から、もも、フロントハーフ(チキンの上半体)など食鳥処理における加工ラインの自動化に取り組み、商品化を進めてきたが、首小肉ラインの自動化技術の開発には至っていなかった。
一般的に1工場当たり複数人が従事する首小肉の処理は、包丁の先を首がらに差し込みながら行なうため、他の脱骨工程に比べて労働災害の危険性が高い。首小肉ラインはフロントハーフラインの次工程であるため、フロントハーフ全自動脱骨ロボット『イールダス3000』の販売を開始した2013年頃から「次は首小肉ラインを自動化できないか」との相談をユーザーから受けていたとのこと。また、人手不足により翌日の作業計画に回さざるを得ない状況がある一方、焼き鳥・焼き肉店などでの〝せせり〟需要の高まりもあり、首小肉ラインの自動化が急務であった。
今回開発した『首小肉取り機』は、フロントハーフから、むね、手羽、ささみを取った首がらを機械に投入するだけで、首小肉を採取できる装置。特殊な技能は必要ないため、誰でも投入作業に従事できる。首がらの個体差に合わせて、タッチパネルでカット位置を調整。投入部には巻き込み防止カバーを設置し、稼働時にカバーを開けると自動で停止するなど、安全性にも配慮している。シリンダーなどのパーツを上部に集約し、洗浄しやすい構造としたほか、カバーの閉扉時に限り、内部のチェーンを回しながら温水で流すことができ、洗浄作業の負担も軽減する。
導入効果は次の通り。
①人手不足の低減に寄与=1時間当たり5000羽処理の工場であれば、常時7~8人での作業を、約半分の3~4人での作業にできる。
②作業者にかかる負担の軽減=首小肉ラインでの人手による作業は、小肉の投入と検品になるため、刃物処理がなくなり、労働災害の軽減につながる。
③安定生産に貢献=作業日ごとの人員数に左右されることなく、処理当日に小肉の生産を終えることができるようになるため、首小肉の安定生産を実現する。首小肉処理の技術を持ち合わせた熟練作業者が不在でも生産できる。
④大幅なレイアウト変更なく導入可能=本体の外形寸法が自動化前の首小肉ライン(8人で作業している場合)と同等のため、大幅なライン改造なしで導入できる。
処理能力は1時間当たり最大3000本(チキン首がら1本100~160グラム)。外形寸法は長さ1260×幅820×高さ1400ミリメートル。『首小肉取り機』を構成する技術、機能については特許を出願中。
問い合わせは同社ロボット&エンジニアリング部門(電03-3642-8966)へ。