GPセンターなど営業届出業種へ 厚労省・食品の営業規制平準化検討会

届出申請時期 来年4月ごろ~21年11月末まで

厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課は10月30日、東京都港区のTKP赤坂駅カンファレンスセンターで第1回「食品の営業規制の平準化に関する検討会」(構成員11人)を開いた。

同省は昨年6月に「食品衛生法等の一部を改正する法律」を公布し、施行は2020年6月1日(HACCP義務化は1年間の猶予期間を経て完全施行は2021年6月1日、営業許可制度も後述の経過措置あり)を予定している。

地方自治体は、同法で義務化される「HACCPに沿った衛生管理」を監督・指導する必要があることから、対象事業者を把握するための『営業届出制度』の創設と、1972年以降見直されていない『営業許可制度』の対象範囲を、これまでの「食品の営業規制に関する検討会」で見直し、取りまとめた経緯がある。

この取りまとめを受けて今年10月9日に公布された政令第123号では「営業許可業種」に液卵製造業が新たに含まれ、「要届出業種」は、常温で保存可能な包装食品のみを販売する事業者や物流業者を除く食品関連事業者が対象になった。これにより、鶏卵GPセンターなども要届出業種に含まれることになる。

ただ、これらを定めた政令の運用は厚労省ではなく、各自治体が定めた条例に基づいて各保健所が担うため、自治体によって解釈や対応が異なってくる可能性がある。このため、今回開設した「食品の営業規制の平準化に関する検討会」では、パブリックコメントなどを通じて集まった意見も参考にしながら、自治体による解釈の違いを減らしていくことを目的としている。

浅沼一成生活衛生・食品安全審議官が冒頭あいさつし、構成員を紹介。座長には「食品の営業規制に関する検討会」でも座長を勤めた五十君靜信東京農大教授を選任した。飲食業や、農業関係の構成員がいない点については、構成員らから事務局への要望があれば必要に応じて呼ぶことにしている。

検討会で厚労省から示された「経過措置」のうち、営業許可については、もともと許可業種だった事業者は、2021年6月の許可・届出制度施行後も、本来の有効期間が切れるまでは旧基準の許可で営業できる。

例えば、飲食店や菓子製造業者が2021年3月に営業許可を更新した場合、営業許可が切れる2026年3月末まで、旧食品衛生法での許可で営業を継続でき、その後の継続申請の際に新食品衛生法に基づく許可申請をすれば良い。

新たに営業許可業種に組み込まれた液卵製造業や食品の小分け業などは、対応に相当の労力を要すると見込まれることから、2021年6月1日から3年間(2024年5月末まで)の経過措置期間を設け、この期間中に新食品衛生法に基づく許可申請をする。

「要届出業種」の届け出については、厚労省が現在、オンラインで申請できるシステムを構築しており、これが完成して運用を開始すると見込まれる来年4月ごろから、経過措置として2021年6月1日の法施行から6か月間を経た同年11月末までの約1年半余りの期間に受け付ける予定。受け付け窓口は、オンラインと保健所の2つになる。

今後のスケジュールでは、11月中旬に第2回検討会を開き、下旬に食鳥処理場や液卵製造業なども含めた施設基準を公布。施行通知の発出やQ&Aの公表も行なう。12月以降も、検討会を4~6か月に1回程度開き、都道府県や業界団体からの意見を基に、平準化すべき点を検討し、都道府県へのアドバイスやQ&Aに反映していく。

このうち施行通知では、各業種の留意点や、調理と製造の考え方(現在示されている解説では、食肉製品製造業の許可を取得した場合は、肉が全く入らない総菜を作る場合は、別途「そうざい製造業」の許可を得なければならないが、食肉製品を使った総菜は作れるとしている)、簡易飲食店営業の具体的な形態、農業・水産業で届け出不要とする範囲、キッチンカーでできることの範囲、営業許可や届け出の標準様式などを示すことにしている。