平成24年の食中毒 事件数、患者数とも増加

厚生労働省は3月18日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の食中毒部会(部会長=山本茂貴国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長)を開き、平成24年の食中毒発生状況を報告した。
平成24年の全国の食中毒件数は、前年比38件増の1100件、患者数は5083人増の2万6699人となった。
事件数は平成10年をピークに減少傾向で推移し、患者数は平成13年以降、2~4万人で推移しているが、平成24年は冬場のノロウイルスの流行の影響で、事件数、患者数ともに前年を上回った。
患者数が500人以上の事件は、(1)広島市・12月・仕出屋・弁当・ノロウイルス=2035人(2)山梨県・12月・仕出屋・弁当・ノロウイルス=1442人――の2件。
死者数は、(1)長崎県・3月・家庭・アオブダイ(推定)・動物性自然毒=1人(2)函館市・4月・家庭・トリカブトのおひたし・植物性自然毒=2人(3)札幌市・8月・食品製造所・漬物(白菜きりづけ)・腸管出血性大腸菌(VT産生)=8人――の3件11人(前年11人)で、前年に引き続き2桁台となった。
病因物質別事件数の1位は416件(前年比120件増)のノロウイルス、2位は266件(70件減)のカンピロバクター・ジェジュニ/コリ、3位は107件(39件増)のその他、4位は70件(23件増)の植物性自然毒、5位は44件(7件増)のぶどう球菌で、上位5病因物質で事件数全体の82%を占めた。
患者数の1位は1万7632人(9013人増)のノロウイルス、2位は1834人(507人減)のカンピロバクター・ジェジュニ/コリ、3位は1597人(1187人減)のウェルシュ菌、4位は1005人(887人増)のその他のウイルス、5位は854人(62人増)のぶどう球菌で、上位5病因物質で患者数全体の86%を占めた。
原因食品別事件数の1位は520件(34件増)のその他、2位は150件(13件増)の魚介類、3位は74件(1件増)の複合調理食品、4位は71件(22件増)の野菜およびその加工品、5位は51件(25件減)の肉類およびその加工品で、上位5食品で全体の79%を占めている。
患者数の1位は1万8442人(6816人増)のその他、2位は2293人(2734人減)の複合調理食品、3位は1221人(130人減)の魚介類、4位は873人(456人増)の菓子類、5位は713人(531人増)の穀類およびその加工品で、上位5食品で患者数全体の88%を占めた。
卵類およびその加工品の事件数は6件(1件増)、患者数は263人(209人増)。肉類およびその加工品の患者数は511人(384人減)。
原因施設別事件数の1位は614件(26件減)の飲食店、2位は117件(29件増)の家庭、3位は66件(9件増)の旅館、4位は45件の仕出屋(前年と同じ)と事業場(10件増)で、上位5施設で事件数全体の81%を占めた。
患者数の1位は1万1286人(1240人増)の飲食店、2位は6353人(3356人増)の仕出屋、3位は3649人(1606人増)の旅館、4位は1319人(873人増)の製造所、5位は1076人の事業場(139人減)で、上位5施設で患者数全体の89%を占めた。
都道府県別の事件数は、東京の142件(12件増)、広島の110件(6件減)、大阪の69件(9件増)、患者数は広島の2698人(2318人増)、東京の2103人(603人増)、山梨の2068人(1803人増)の順に多かった。
月別では、事件数、患者数ともにノロウイルスが多発した影響で12月が最も多くなり、同月の事件数は151件(前年比50件増)、患者数は7981人(3691人増)と大幅に増加した。
部会員の専門家からは、昨年北海道で8名の死者を出した腸管出血性大腸菌感染症の近年の発生動向や、今冬流行したノロウイルスの新しい変異株の遺伝子解析の結果と直近の検出状況について報告があり、ノロウイルスについては「英国、オランダ、オーストラリア、フランス、ニュージーランドなどの諸外国でも、前年度以上に流行している」と説明した。

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