森孵卵場が花巻工場を開設 〝ビルド&スクラップ〟で孵卵設備を更新

ひなの発生能力は月間150万羽

導入したマルチステージ孵卵器

㈱森孵卵場(森泰三社長―本社・香川県観音寺市大野原町大野原1834)は、このほど岩手県花巻市に新しい孵卵場の花巻工場(岩手県花巻市石鳥谷町好地第2地割30-4)を開設した。

同社は肉用鶏専門の独立孵卵場として全国(岩手県、宮城県、福島県、三重県、和歌山県、香川県、福岡県、宮崎県)に拠点を持ち、ブロイラー用ひなを各インテに供給している。2019年に創業70周年を迎えるが、孵卵設備の老朽化もあるため、長期的な孵卵設備の更新計画を策定し、その一環として2016年の都城工場の開設に続いて花巻工場を開設したもの。これにより全国にある孵卵場は10か所となった。

花巻工場の敷地面積は約1.85ヘクタールで、固定電話機の製造工場跡地を買収した。当時の建屋をそのまま生かして内部をリフォームし、貯卵庫を増設。㈱アイピー製のマルチステージ孵卵機を11台(このうち1台を予熱処理用セッターとしても使用)、シングルステージ孵卵機を21台導入した。ひなの発生能力は月間150万羽。

現在の従業員は7人であるが、「徐々に地元からの雇用を増やし、最終的には20人程度を目指したい」(東北支店の森雄輔営業課長)とのこと。

花巻工場で発生したひな

孵卵設備の更新について、森泰三社長は「これまであまり設備を更新してこなかったので、古い設備もある。創業からの10年間で孵卵場を6か所作っているが、今からの10年間で6か所の設備更新はできない。今回、東北で150万羽分のひなのオーダーが増えたわけではないが、孵卵場の特性上、別の工場を先に作らないと既存工場の設備更新もできないため、〝ビルド&スクラップ〟の考え方の下、長期的な計画で孵卵場の整備を進めていく。省力化にも取り組まなければいけないが、大きな工場を1つ作って人数を減らすような方法は、スタッフをきちんとそろえることが前提で、それが一番難しい。卵内接種機を導入したとしても、マレックワクチンを接種できる人が1人もいなくなれば、機械が壊れた時にどうするのか。アナログな部分も持ちながら省力化を考えなければいけないと思う。孵卵場の永遠のテーマは温度管理。技術力のある人材を育てながら、品質の高いひなを供給していきたい」などと話している。