日本ハム 「サステナブル事業」を立ち上げ 鶏レバー使用の『グラフォア』開発

フォアグラの風味と口溶けを再現

日本ハム㈱(本社・大阪市)は3月29日、「サステナブル事業」の立ち上げと新商品『グラフォア』の発表会を開いた(東京=日本外国特派員協会、大阪=日本ハム大阪本社、オンライン)。

ニッポンハムグループは、2030年のありたい姿として「Vision2030」を策定し、『たんぱく質を、もっと自由に。』を形にするために、①たんぱく質の安定調達・供給②食の多様化と健康への対応③持続可能な地球環境への貢献④食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄⑤従業員の成長と多様性の尊重――の5つのマテリアリティ(重要課題)を設定。昨年は新規事業として「エンタメ事業」と「ウエルネス事業」を立ち上げ、新感覚ジャーキーや食物アレルギーケア商品を開発・販売している。

今回立ち上げた「サステナブル事業」では『Mealin’good(ミーリングッド)』の事業ブランドのもと、様々な倫理観や価値観が共存する、より良い未来を目指し、人も地球も心地よい選択肢を増やす商品やサービスを提供する。

3月29日に開設したブランドサイト(https://www.nipponham.co.jp/mealingood/)では、①限りある資源を有効活用②食の新たな選択肢を増やす③生命(いのち)を大切に育む――への取り組みを消費者に発信する。新規事業推進部の高崎賢司部長は「この3つがサステナブル事業の大きな根幹だと考えている。これから議論していく中で4つ、5つになっていくことも当然考えられるが、優先順位の高い項目としてこの3つを設定した」と述べた。

サステナブル事業の第1弾商品として開発した鶏レバー使用の『グラフォア』は、ニッポンハムグループの若手研究員を対象としたアイデアコンテスト(開発甲子園)で、鶏レバーが需要閑散期に食品として利用しきれていない現状に着目したアイデアを商品化につなげたもの。

開発の経緯について高崎部長は「フォアグラの輸入量は年々減っている。動物愛護の観点で生産を禁止する国が増えているが、このままフォアグラの食文化をサステナブルにしなくてよいのかという課題に対し、フォアグラではないもので、フォアグラを超える価値があるものとして開発したのが『グラフォア』である」と説明した。

発案者である加工事業本部ハム・ソーセージ研究開発課の上野瑞城氏は「これまでのフォアグラの常識をひっくり返すといった願いを込めて『グラフォア』というネーミングにした。鶏レバーは需要が少ない時期には食用としてすべて使用しきれていない現状を知り、どうすればより多くの人に鶏レバーを喜んで食べてもらえるかと考え始めたのがきっかけ。

より濃厚で滑らかな口溶けを再現することでフォアグラに近づくのではないかと研究を始めたが、どうしても食感が弱くなってしまう課題に直面し、約1年間で50回以上の試作と試食を繰り返すことで、食感と口溶けのバランスを両立することができた。日本ハムといえば『グラフォア』と言ってもらえるような商品に育てていきたい」などと述べた。

『グラフォア』の主な特徴は、①鶏レバーを活用し、フォアグラの濃厚なうま味と滑らかな口溶けを再現②自宅で気軽に楽しんでもらえるように下処理が不要で、フライパンで1分ほど焼くだけの簡単調理③こだわりの新技術で開発し、配合、製法は特許出願中――で、基本セットはグラフォア30g×2枚×2袋とシェフ特製ソース50g×2袋で3218円。手作りハンバーガーセットは基本セットにアンガス牛バーガーパティ113g×4枚、バーガーバンズ2個×2袋、バーガーソース100g×1袋、バーガー袋4枚、作り方手順書が加わり5378円(冷凍、税込み)。

3月29日からクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」(https://www.makuake.com/)でテスト販売を始めており、6月頃から日本ハムの「Meatful(ミートフル)」サイト(https://www.meatful.jp/)で販売する予定。