家禽がたんぱく源の「王様」に 国際家禽協議会の2019年市場予測

国際家禽協議会(IPC、ジム・サムナー会長)は4月24日、前週の会合で専門家が示した2019年の世界の食肉需給予測の結果を公表し、「2019年は中国などで拡大しているアフリカ豚コレラ(ASF)の影響で、家禽肉が世界で最も消費されるたんぱく源になる」との見通しを示した。

このうち、オランダ・ラボバンクのクリスティーン・マクラッケン氏の予測内容によると、ASFは現在、世界の3大陸の15か国に拡大し、世界の豚肉生産量の14%が失われたが、被害はさらに拡大すると見込んでいる。

特に世界の半分近い豚が飼われ、世界の感染豚の98%を占めるとされる中国と、世界第5位の豚肉生産国のベトナムでのまん延を重視。中国の今年の豚肉生産量は、控えめに見積もって30%減り、たんぱく源の供給は10%不足すると予測している。

この供給減は世界的に埋めることができず、牛肉、家禽、魚介類の貿易増がその影響を和らげるものの、すべてのたんぱく源が値上がりすると見通している。中国国内でも、卵や牛肉、魚介類、家禽の増産が可能だが、家禽肉の輸入が最も有効な対応策と指摘。

2020年についても、世界の豚肉生産量はASFの影響で約3%少なくなるが、その後の供給は「2021年から安定し始める。環境や処理の規制なども増産の抑制材料となり、27年までは1~2%ずつの緩やかな生産増が予想される」としている。

家禽アナリストのポール・エイホー博士は、2019年の世界の豚肉供給量は15%減り、その後4年間は毎年5%ずつ、その後は2%ずつ増えると予測。一方、家禽肉の生産は、豚肉不足などが増産要因となって今後3年間は3%ずつ増え、その後は2%ずつ増えると予想し、この結果「今年の家禽肉の生産量は豚肉を上回り、その後も豚肉を下回ることはない」との見通しを示した。

サムナー会長は、各氏の予測を受けて「家禽は今年、間違いなく世界のたんぱく源の王様(king)になる」とコメント。世界の家禽産業関係者の成功に向け、より低い貿易障壁と、より安全な食品供給の実現も呼びかけた。