女性の能力が必要 中央畜産会がシンポジウム

(公社)中央畜産会(森山裕会長)は11月17日、女性の経営参画を推進するための『全国シンポジウム』をウェブ方式で開き、各地の畜産関係者ら約200人が聴講した。

東京都内で参加者数を絞って開き、その動画を配信。冒頭、井出道雄副会長が「女性や男性にこだわらず、一人ひとりの長所や特徴、違いを生かすための取り組みが必要。次代を担う後継者や若者たちが、魅力を感じる畜産となることを期待している」などと述べて開会。農水省・畜産企画課の松井裕佑課長補佐が来賓あいさつした。

東京大学大学院農学生命科学研究科の松田二子准教授は講演の中で、日本社会にいまだに残る『無意識の偏見』について「女性だから経営がうまくいかないんじゃないか、と多くの人が無意識に思ってしまうことが問題。決定権は男にある、との男性の意識や、女性の主体性を認めようとしない傾向もある。性別に限らず、多様性を持つことが組織を強くする。女性が経営に入ると経常利益が上がることは様々なデータが示しており、ジェンダーギャップ(男女の格差)の是正は経営・利益面からも非常に重要」と指摘。

さらに、畜産経営に携わる女性からは①男性が女性の仕事を決めるとの意識がある②女性が主体的に仕事をしていることへの理解が少ない③仕事・介護・育児の全部を女性が負担している④社会的な役割に男女の別はないことを理解してほしい⑤子どもたちに男性優位の考えを引き継がないことが必要――との声が上がっていると紹介した。

続くパネルディスカッションには養豚、養牛、獣医師、削蹄師の女性の4氏が畜産に携わるようになった経緯や、育児との両立の大変さ、男性の協力の必要性、女性の働きやすい環境づくりなどについてコメントした。