厚労省が「食鳥肉販売業の振興指針」改正

新型コロナ対策や食の安全・健康志向への対応など追記

厚生労働省は4月1日付で「食鳥肉販売業の振興指針」を改正した。昨年、厚生科学審議会の生活衛生適正化分科会で審議された結果を、3月2日付で同審議会が厚生労働大臣に答申した。

「食鳥肉販売業の振興指針」は「第1 食鳥肉販売業を取り巻く状況」「第2 前期の振興計画の実施状況」「第3 食鳥肉販売業の振興の目標に関する事項」「第4 食鳥肉販売業の振興の目標を達成するために必要な事項」「第5 営業の振興に際し配慮すべき事項」で構成される。

食鳥肉販売業を取り巻く状況では、令和2年の営業規模は従業員5人未満が45.5%、60歳以上の経営者が63.7%などとしている。

7割を超える経営で売り上げ20%以上減

経営上の課題は、①人件費の上昇②客数の減少③客単価の減少。

新型コロナの影響としては、①20%以上50%未満の売り上げ減が46.2%②50%以上80%未満の売り上げ減が26.4%③20%未満の売り上げ減が24.9%。

今後の経営方針としては、①接客サービスの向上②店舗・設備の改装――が上位。

新型コロナ収束後に予定している取り組みとしては、①新たな販売方法の開拓②新商品、新メニューの開発③広報活動の強化が上位――と記述している。

食鳥肉販売業の振興の目標に関する事項では、「衛生問題への対応」として、新型コロナの影響に伴う〝新しい生活様式〟に順応した感染予防ガイドラインの順守など衛生対策の徹底、食品衛生法改正に伴いHACCPの考え方を取り入れた営業者による衛生管理の確実な実施を追記。

「高齢者、障害者、子育て世帯などへの配慮」として、〝買い物弱者〟層に対して地域密着の強みを生かしたたきめ細かな商品やサービスの提供、バリアフリーの取り組みを記述。

「省エネルギーへの対応」として、LED照明装置やエネルギー効率の高い空調設備の導入などを記述。

「受動喫煙防止への対応」として、健康増進法と労働安全衛生法に基づき〝望まない受動喫煙〟が生じないよう受動喫煙による国民や労働者の健康への悪影響などを記載したほか、多数の者が利用する施設の管理者が受動喫煙防止に必要な措置を講じることを追加し、受動喫煙防止を促進。

「税制と融資の支援措置」として、日本政策金融公庫による融資内容(振興事業促進支援制度、生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付)を紹介。

「関係者(国、都道府県、都道府県指導センターと日本公庫)に期待される役割」として、各種申請、研修会、融資相談などの機会を捉えた組合未加入者に対する情報提供や制度の活性化などを記述した。

食鳥肉販売業の振興の目標を達成するために必要な事項では、「営業者の取り組み」として、新型コロナの影響に伴う〝新しい生活様式〟に順応した感染予防ガイドラインの順守など衛生対策の徹底、HACCPに沿った衛生管理の徹底、店舗のコンセプトと経営戦略の明確化、経営手法・熟練技術の効率的な伝承、省エネルギー対応、生産性向上を図るためのセミナーへの各種制度の活用などを追記。

「営業者に対する支援」として、経営改善に役立つ手引きや好事例集などの活用、生産性向上などを図るセミナーの組合員参加促進、ICTの活用にかかわるサポート、創業や事業承継における助言・相談、経営特別相談員による経営指導の周知などを追記した。

営業の振興に際し配慮すべき事項では、営業者の社会的責任として、衛生水準の確保と経営の安定、SDGsの取り組みへの貢献のほか、「少子高齢化社会などへの対応」として、高齢者、障害者、妊産婦や子ども連れに配慮した店舗づくりや、子育て世帯・共稼ぎ世帯が働きやすい職場環境の整備について記述。

新たに「禁煙などに関する対策」として、店舗内の禁煙や喫煙専用室などの設置や従業員に対する受動喫煙防止対策への取り組みを記述。

新たに「災害への対応と節電行動の徹底」として、災害対応能力の維持向上、地域の防災訓練の参加、被災者支援とコミュニティの復元、節電啓発への取り組みなどを記述。
新たに「最低賃金の引き上げを踏まえた対応」として、営業者の役割として最低賃金の順守や業務改善助成金などの制度の活用。営業者への支援として最低賃金の理解と周知、助成金の利用促進、セミナーなどの開催と参加促進などを記述。

新たに「働き方・休み方改革に向けた対応」として、営業者の役割として従業員に対する長時間労働の是正や年次有給休暇の取得、雇用形態に関わらない待遇改善、職場のハラスメント対策。営業者への支援として相談窓口や研修会などの紹介、働き方・休み方改革を促進するための振興事業貸付の活用などを記述した。