タマゴを読み解く―正しい知識で健康に― タマゴ科学研究会が発刊

タマゴ科学研究会(菅野道廣理事長)は6月24日、卵と健康の関係を、科学的研究成果に基づいて解説した小冊子『タマゴを読み解く―正しい知識で健康に―』【写真右】を発刊した。

2015年に刊行した小冊子「タマゴとコレステロール」を、より広い視野から、新しい知見を加えて改題したもの。監修は菅野理事長と、東洋大学食環境科学部の近藤和雄教授(お茶の水女子大学客員教授・名誉教授)、大阪大学大学院医学系研究科の磯博康公衆衛生学教授。

基本的な卵の栄養成分含量のほか、①細胞膜やホルモンの材料として欠くことのできないコレステロールの役割②血中コレステロール濃度と疾病との相関を調べた様々な疫学調査の結果③コレステロールは摂取量と血中濃度の間に一定の相関が認められないこと④むしろ飽和脂肪酸摂取量と血中コレステロール濃度との間に密接な正の相関が確認されていること⑤従って、血中コレステロール濃度が高いからと言って単純にコレステロール摂取量を減らせばいいというものではないこと⑥卵の摂取量と糖尿病の有病率にも関連は認められないこと⑦糖尿病患者の卵の摂取と循環器疾患の発症リスクにも関連がないと考えられていること⑧乳児に早めに卵を食べさせることで、食物アレルギー発症リスクが下がる可能性が見出されていること⑨卵黄は日本人にとって、脳の発育に必要なコリンの最大の供給源であり、認知症予防のためにも摂取が勧められていること――などを、多数の試験研究や疫学調査の結果を基に解説している。

卵の摂取量と血中コレステロール濃度の相関についても、ほとんどの研究で健常者への影響は認められず、1日1~2個程度の卵の摂取が勧められていることなどを紹介。脂質異常症者(高コレステロール血症の患者など)を含む日本人110人に、卵3.5個分の乾燥卵黄(コレステロール750ミリグラム分)を4週間続けて食べさせたが、血中総コレステロール濃度とLDLコレステロール濃度に有意な変化はみられなかった(HDLコレステロール濃度はわずかに有意に上昇)との試験結果(Homma Y et al.,2001)にも触れている。

菅野理事長はタマゴシンポジウムのあいさつの中で、同冊子について「若い研究者の意見を取り入れ、内容を充実させた」と紹介。PDF版は同研究会ホームページ(http://japaneggscience.com/index.html)からダウンロードできる。冊子の配布希望者は同研究会事務局へ。