カップ入りゆでたまご発表 キユーピー

『内食ダイバーシティ戦略』を推進

オンライン会見での長南社長㊨と藤原上席執行役員

4連カップに入った新タイプの『ゆでたまご』(手前)

『鶏肉と豆のラタトゥイユ風』のパッケージの一部

キユーピー㈱(長南収社長―本社・東京都渋谷区)は新型コロナ下の食ニーズに応えようと、今春からフレッシュストック事業を本格始動させている。同事業では高品質で賞味期間が長く、買い置きに向く商品群を開発。グループ各社が①調味料②惣菜③タマゴ商品――の各商品を主にスーパーの低温売り場に向けて販売している。

4月1日には同事業の新ブランド『わたしのお惣菜』から「素材をあじわうポテトサラダ」(内容量100グラム・賞味期間は冷蔵で20日間・税込み参考小売価格214円)、「3種類の豆を使った鶏肉と豆のラタトゥイユ風」(160グラム・30日間・322円)、「シャキシャキたまねぎのタルタルソース」(80グラム・4か月間・108円)など9品を発売。同ブランドのタマゴ商品では、販売中の「つぶしてつくろうたまごサラダ」(ゆで卵2個とドレッシング38グラム・45日間・206円)など4品目に加えて、6月末には、ヨーグルトなどにみられるミシン目付き4連カップに殻なしのゆで卵が入る「キユーピーのたまご『ゆでたまご』」をテスト販売する。

3月17日のオンライン記者会見では、長南収社長が戦略発表【要旨別掲】し、藤原かおり上席執行役員が新たな『ゆでたまご』の特徴について、「カップ入り商品へのご要望が多く、まずは首都圏の日配品売り場での販売を企画している。キユーピー独自の技術によって、黄身やわらか、半熟仕立て、ほんのり塩味、殻をむかずにそのまま食べられるのが特徴。カップ入りで冷蔵庫に重ねてストックでき、1個ずつパキッと切り外せるため好きな時に好きな数だけ食べられる。たとえば時間のない朝など、親御さまがお子さまに『ゆで卵だけでも食べていきなさい』と渡してあげるような光景も思い描いている」と紹介した。

長南収社長の発表要旨

キユーピーグループはコロナ下の内食変化に対応し、3つの挑戦を実行する。第1は組織体制の事業担当制から市場担当制への転換。第2はタマゴ商品のさらなる拡大。そして第3が『新商品を起点とした食生活提案力の向上』である。

まず第1については、これまで当社は「調理・調味料」「サラダ・惣菜」「タマゴ」の食品3事業のそれぞれがビジネスを展開してきた。ただ、新型コロナによる業務用市場へのマイナスインパクトを乗り越えて成長し続けるには、お客さまの多様化するニーズや購買行動の変化にフレキシブルに対応することが不可欠で、そのための組織転換が必要と判断した。

具体的には、国内においては市販用と業務用市場の2軸で経営する。その市販用で食品3事業を融合し、グループの連携をけん引するのがフレッシュストック事業である。同事業ではグループのあらゆるアセット(強み)を組み合わせ、新たな商品やサービス、販路を開拓し事業を拡大していく。

第2の挑戦はイースターを起点としたタマゴ商品のさらなる拡大である。キユーピーは10年前から春のイースターキャンペーンを展開し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンさまとタイアップした販売促進などに取り組んできたが、今後は卵の健康価値の啓発にもさらに力を入れていきたい。卵には脳の栄養素とも言われ、記憶・学習に関係する神経伝達物質の材料となる「コリン」が豊富に含まれる。健康寿命の延伸に必要な栄養素もほとんど含まれるため、今後も産官学で連携して研究を続け、コリンをはじめ、その栄養価値の啓発と普及に取り組んでいく。

第3が『新商品を起点とした食生活提案力の向上』で、まずは作りたてのおいしさを日持ちさせる新技術「冷圧フレッシュ製法」などの独自技術を通じて、惣菜売り場にストックという新たな価値を創造したい。自宅での食機会が増えている今、献立から買い物、後片付けまで、食に関する家事は大変な重労働となっている。内食をもっと快適に、もっと楽しんでいただくために、食生活をトータルで提案していく。そのためには異業種とのコラボや、私たちと同じ思いを持つ企業さまと一緒になることで提案力を向上していきたい。

コロナ下の内食はこれまで以上に多様化している。キユーピーグループはその変化に対応し、商品のみならず、新しい食生活の提案も含めたマーケティングを行なっていく。我々はこれを『内食ダイバーシティ戦略』と位置付け、次々と新たな提案を行ない、推進していく。