「飼養衛生管理指導等指針」答申 都道府県の指導強化へ

農林水産省は7月31日、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会を持ち回りで開き、昨年10月に農林水産大臣から諮問された、都道府県が畜産農家の飼養衛生管理を指導する手順などを定めた「飼養衛生管理指導等指針」を答申した。この指針は少なくとも3年ごとに再検討する。運用は令和3年4月から。

飼養衛生管理指導等指針は、平成30年9月以降の豚熱(CSF)発生時の疫学調査や、わが国の家畜防疫のあり方などを検討する中で、一部の家畜の所有者に飼養衛生管理基準への理解不足や順守が不十分な事例があったこと。また、法に基づく指導・助言・勧告や命令を含め、必要な指導を担う都道府県の対応が平準化されていなかったことが指摘されたこと。これらは、養豚に限るものではなく、国内で常在化している家畜の伝染性疾病による生産性の阻害の観点からも畜産業全体の共通課題といえること。さらに都道府県が担う家畜衛生上の業務は拡大しており、限られた人員の中で、効率的かつ計画的に指導を実施していく必要があること――などから、飼養衛生管理にかかわる指導などの基本的な方向を指針として国が定め、この指針に即して、都道府県は地域の実情に応じて、飼養衛生管理にかかわる指導の重点事項などを計画的に定めることとしたもの。

指針は「前文」「第1章 飼養衛生管理に係る指導等の実施に関する基本的な方向」「第2章 重点的に飼養衛生管理に係る指導等を実施すべき事項」「第3章 飼養衛生管理に係る指導等の実施体制に関する事項」「第4章 協議会等の活用その他の飼養衛生管理に係る指導等の実施に関する重要事項」で構成。

「鶏その他家きん」の所有者に対して重点的に飼養衛生管理を指導すべき事項は、①家きん所有者の責務の徹底②飼養衛生管理マニュアルの作成と従事者等への周知徹底③衛生管理区域の適切な設定④記録の作成と保管⑤衛生管理区域専用の衣服と靴の設置、使用⑥野生動物の侵入防止のためのネット等の設置、点検と修繕⑦衛生管理区域の整理整頓と消毒――で、飼養衛生管理者が毎年1回以上の自己点検を実施するよう求め、そのうえで都道府県は必要に応じ立ち入り検査して指導する。

また都道府県は、平常時から獣医師などの家畜防疫員の確保に取り組むほか、協議会などを活用して最新の科学的知見などの情報共有、防疫演習などの協働実施、疾病発生時に備えた連携協議などを行なう。