ぐるなび総研「今年の一皿」に『鶏むね肉料理』 特性と機能性、新しい食スタイルで注目
今年の日本の世相を反映し、象徴する食を選ぶ2017年「今年の一皿」(主催・㈱ぐるなび総研など)が12月4日に発表され、『鶏むね肉料理』が選ばれた。高齢化や健康志向の高まりで、むね肉の高たんぱく・低脂肪の特性に注目が集まり、抗疲労効果や抗酸化作用があるイミダゾールジペプチドが豊富に含まれるむね肉の機能性も消費者に広く認知されたことなどが評価された。
「今年の一皿」は、優れた日本の食文化を人々の共通の遺産として記録に残し、保護・継承するために、ぐるなび総研などが2014年に始めたもので今回が4回目。1回目は「ジビエ料理」、2回目は「おにぎらず」、3回目は「パクチー料理」が選ばれた。
㈱ぐるなびが運営する飲食店情報サイト「ぐるなび」の総掲載店舗約50万店、詳細情報掲載店舗16万1000店が発信する一次情報と、1547万人のぐるなび会員、6100万人の〝ユニークユーザー〟の閲覧履歴や行動履歴などを掛け合わせて分析したビッグデータから、検索数や上昇率などの一定条件を満たした40ワードを抽出。それらを選択肢として、ぐるなび会員にアンケートを実施して30ワードを選び、メディア関係者(66社・100媒体、126人)による審査を加味して6つのノミネートワード(『強炭酸ドリンク』『チーズタッカルビ』『鶏むね肉料理』『日本茶スイーツ』『フォトジェニックサンドイッチ』『Neo日本酒』)を選定。
さらにその中から、①その年に流行または話題になったこと②その年の社会の動きと関係が深く世相を反映していること③食文化の記録として後世に受け継ぐ価値があること――の3つの条件を満たした『鶏むね肉料理』が2017年「今年の一皿」に選ばれた。
また、「パサつきやすい」と言われていたむね肉が、ここ数年で塩麹漬けや、真空低温調理などの技術でやわらかく、しっとりとおいしく食べられるようになり、野菜や果物に肉類をあわせて主食にする新しいスタイルのサラダ需要が伸びて、サラダの具材に広く活用されたことも選定理由となった。
東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急で開かれた2017年「今年の一皿」記者発表会には、『鶏むね肉料理』を代表して鶏肉生産量日本一の鹿児島県から三反園訓知事と、今年7月から「黒さつま鶏」の飼育を始めた㈱ナンチクの北野良男専務(㈱ナンチクファーム社長)が出席。ぐるなび総研の滝久雄社長からトロフィーが、2020年東京オリンピック・パラリンピックエンブレムをデザインした野老朝雄氏から「野老組人紋様皿有田焼2017」が贈られた。
三反園知事は「鶏むね肉は『もも肉より安いけど調理方法が…』と今まで言われていたが、高たんぱく・低脂肪で、疲労回復やアスリートにも良く、使いやすい素材であることがようやく分かってきて、様々な調理方法が編み出され、多くの人に食べていただけるようになった。今回の受賞を機に鶏肉を全国の方々、世界の方々に食べていただけるように我々も全力で取り組んでいきたい」とあいさつした。
北野専務は「鹿児島県には鹿児島黒牛、黒豚があるが、3つ目の黒をどうにか販売拡大できないかと考え、今年7月から『黒さつま鶏』の飼育を始めた。今後の展開に期待している。ただ、生肉の販売は限界に来ているかもしれないため、ひと手間かけて新しい商品を作り、消費者の皆さんの口元に運んでいただく取り組みをしたいと思い、むね肉の生ハムを作った。今回の受賞で生産者も勇気づけられると思う」とお礼を述べた。
北野専務、(一社)日本食鳥協会の佐藤実会長、筋肉アイドルの才木玲佳さん、東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長による「鶏むね肉」をテーマとしたトークセッションでは、佐藤会長が「むね肉の人気は2~3年前から兆候としてあり、特に今年はブレイクしたと言える。鶏肉には地鶏、銘柄鶏、ブロイラーの3つのカテゴリーがあり、人気のサラダチキンにはブロイラーのむね肉が使われている。地鶏のむね肉は生ハムで商品開発してほしいと言っていたが、ナンチクさんがすでに実現しているため満足しているし、そのような需要はますます増えると思う。
むね肉を使った料理としては、鶏のすき焼きをさらに広めたいと思っており、輸出のイベントでも紹介している。ぜひ外食産業で鶏むね肉を使ったすき焼きを展開していただけると、我々生産者、流通業者にとって非常に喜ばしいことだと期待している」と述べた。
才木さんは「毎日のように鶏むね肉を食べていて大好き。外食でも高たんぱくを心がけており、体を絞りたい時には鶏むね肉にお世話になっている」とし、梶本院長は「鶏むね肉にはイミダゾールジペプチドが豊富に含まれ、それを人間が食べると疲労感だけでなく、疲労そのものを取ることが分かった。アンチエイジングの分野でもイミダゾールジペプチドは非常に注目されている。この成分は1日200ミリグラム摂取しなければならないが、鶏むね肉に換算すると100グラム。煮ても焼いても成分は残るため、比較的摂りやすい量で抗疲労効果、アンチエイジングの効果を実感いただけると考えている」と説明した。
2017年「今年の一皿」ではこのほか、準大賞に『強炭酸ドリンク』(通常より炭酸ガスの含有量が多い飲料)、急上昇ワード賞に『チーズタッカルビ』(鶏肉と野菜などを炒めたタッカルビを鉄板の上でチーズに絡めて食べる韓国発祥の料理)が選ばれた。
【「今年の一皿」に選ばれた『鶏むね肉料理』(画像提供:ぐるなび総研)㊤、生産量日本一の鹿児島県から三田反訓知事(中央)も出席して喜びを語った㊥、日本食鳥協会の佐藤実会長(左から2人目)らによるトークセッションも行なわれた㊦】