鶏卵96%、鶏肉64%は前年度と同じ 食料自給率

平成30年度のカロリーベース自給率は最低の37%

農林水産省が8月6日に公表した平成30(2018)年度のカロリーベース(供給熱量ベース)の食料自給率は前年度比1ポイント減の37%で、冷夏で米が記録的な不作だった平成5(1993)年度と並ぶ過去最低となった。

1人1年供給純食料 鶏卵17.5キロ、鶏肉13.8キロ

食料自給率は、国内で消費する食料を、国内生産でどの程度まかなっているかを示す指標。

平成30年度は、プラス要因として、米は消費減少の中でも主食用米の国内生産は前年並みで、国産てん菜由来の砂糖製造量の増加、ホタテ貝の生産回復やマイワシの好漁による漁獲量の増大などはあった。しかし、マイナス要因として、小麦、大豆などが天候不順により単収が低水準となって国内生産が大幅に減少したことや、畜産物も飼料作物の減少に伴う飼料自給率の低下を通じて国産熱量が減少したことに加え、牛肉、乳製品の輸入増などがあって、全体の食料自給率が低下したもの。

主要農産物の自給率の推移は表の通り。

30年度の鶏卵の国内生産量は262万8000トン(前年度比0.5%増)、輸入量は前年度と同じ11万4000トン、輸出量は7000トン(同40.0%増)で、国内消費仕向量は273万5000トン(同0.4%増)。この結果、鶏卵の自給率は前年度と同じ96%となった。

30年度の鶏肉の国内生産量は160万トン(同1.6%増)、輸入量は91万4000トン(同1.0%増)、輸出量は前年度と同じ1万トンで、在庫の8000トンを除いた国内消費仕向量は251万2000トン(同2.6%増)。この結果、鶏肉の自給率は前年度と同じ64%となった。

その他の肉類の自給率は、牛肉は前年度と同じ36%だったが、豚肉は前年度比1ポイント減の48%。牛乳・乳製品も同1ポイント減の59%。魚介類は同3ポイント増の55%となった。

飼料自給率を考慮した肉類全体の自給率は同1ポイント減の7%、牛乳・乳製品も同1ポイント減の25%であったが、鶏卵は12%、鶏肉は8%。牛肉は10%、豚肉は6%でいずれも前年度と同じ。

国民1人・1年当たりの供給純食料は、鶏卵は前年度比0.1キロ増の17.5キロ、鶏肉は0.4キロ増の13.8キロ、牛肉は0.2キロ増の6.5キロ、豚肉は0.1キロ増の12.9キロ、牛乳・乳製品は2.3キロ増の95.7キロ、魚介類は0.5キロ減の23.9キロであった。

国民1人・1日当たりの供給熱量は、前年度比4.2キロ㌍増の2443.9キロカロリー、たんぱく質は0.2グラム増の79.1グラム、脂質は1.1グラム増の81.8グラムで、PFC熱量比率は、たんぱく質(P)13.0%(前年度12.9%)、脂質(F)30.1%(同29.8%)、糖質(C)56.9%(同57.3%)であった。

飼料自給率は前年度比1ポイント減の25%。粗飼料の国内産自給率は同2ポイント減の76%、濃厚飼料(国内産飼料用小麦や大麦などで、輸入食料原料から発生した大豆油かすなどの副産物を除く)の国内産自給率は1ポイント減の12%であった。

平成27年度から公表している食料自給力指標(国内生産のみでどれだけの食料を最大限生産可能化を試算した指標)は、農地面積の減少などですべてのパターンで微減となり、米・小麦・大豆中心型では推定エネルギー必要量(2143キロカロリー)を下回るものの、いも類中心型では上回っている。