飛躍に向けた基礎固めを スターゼン・横田社長が就任会見

中津濵健会長㊧と横田和彦社長

スターゼン㈱(本社・東京都港区)は、4月1日に新社長就任記者会見を開き、中津濵健会長と横田和彦社長、鶉橋正雄常務取締役海外本部長、髙濵良一取締役物流本部長、池尻尊広執行役員営業本部長が出席した。

2012年から9年にわたり社長を務めた中津濵会長は「昨年度からの新型コロナウイルスでマーケットがどうなるかと思っていたが、食は人々にとって必要であり、我々はエッセンシャル企業になりうると確信できた。同時に〝チームスターゼン〟が浸透し、チーム力を発揮できるようになってきた。体制が整い、若手も育ち、後継者もいろいろな経験させて育ってきたため、コロナ禍のマーケットと、世の中の変化についていけるように世代交代することにした。

新社長は私と14歳離れている。若いし感性も豊かで、経験も十分積んでいるため、スターゼンを発展させてくれると思っている。私はしばらく新しい体制の後見人として見守っていきたい」などと述べた。

1986年に入社以来、営業畑で仕事をしてきた横田社長は「社長となってからもお客様、取引先との関係強化に尽力し、多くのお客様から、経営理念の最初に掲げる『スターゼンと取引をしてよかったといわれる会社』にすべく努める。

社長就任に当たり、2017年4月に定めた経営理念の一部とグループ従業員の行動原則を変えることにした。経営理念の最初に掲げる『スターゼンと取引をしてよかったといわれる会社』の実現は、グループの全従業員がスターゼンで働いてよかったと思わなければなし得ないため、『スターゼンで働いてよかったと思える会社にしよう』を加えた。行動原則については『チームスターゼン、チームにおける個人に貢献』とした。コロナ禍で社員の帰属意識も変わってきたように感じる中、チームスターゼンをさらに深堀り・深化させる。特に先の見通しが立ちにくい現環境下では、皆が一つのチームとしてつながり、その中でそれぞれの役割を果たしていくことの大切さを繰り返し説いていきたい」と抱負を述べた。

新体制での強化戦略については「今年度もコロナ禍による不透明な販売環境を踏まえ、いろいろな部分で我慢の年と位置付け、先の飛躍に向けた基礎固めをしっかりと行なっていく。

わが社は前年度に、主に外食・レストラン向け営業に特化した販売会社を、全国50か所の拠点を持ち、小売り・スーパーマーケットチェーンをはじめとした幅広い業種・業態へ営業活動を展開する販売会社に一本化し、スターゼンの営業本部とした。少しずつ成果がみられるため、今年度も新しい営業本部長の指揮のもと、この深堀りと、先の飛躍に向けた基礎固めをしっかりと進めていく」とし、①牛肉の輸出拡大に向けた準備②ローマイヤブランドの100周年記念アップグレード商品の発売③国内で製造加工する食肉加工品の強化④サステナビリティ視点での経営推進――などをポイントとして挙げた。

新体制の幹部も抱負を語る

鶉橋海外本部長は、国産食肉の輸出事業について「前期の輸出量は食肉全体が前々期比140%、牛肉が130%で、コロナ禍にもかかわらず力強い輸出ができた。エリア別では台湾、香港、アメリカは140%前後を維持し、シンガポールは300%。ヨーロッパは夏以降、回復傾向にあったが、本格的には戻らなかった。好調だった要因は、海外のほうがコロナからの回復が早かったことと、小売店や通販などの新しい販売チャネルを開拓できたこと。

今後は飼料価格の高騰や、国産食肉の相場高により国内市場が楽観視できないため、どこに何を売るかを全世界レベルで考える必要がある。海外で販売できる人材を強化し、国産食肉事業の下支えをしたい」と述べた。

髙濵物流本部長は、物流戦略について「スターゼングループは今期、物流本部を新設し、配送や業務改革、環境にまつわる様々な問題について取り組む。グループ内の製造から販売までの全体を俯瞰し、より効率化する形に物流システムを新たに組み立てる。当社におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の中心に位置付けて、最優先で取り組む。

また、環境目線での業務改革も重要で、全国の営業トラックでの排出ガス削減に目標値をもって取り組む。当社は全国に420台以上のトラックを保有しているが、1台の運転時間を1日10分短縮すると、CO2を3~5%削減できるとの試算もある」などとした。

池尻営業本部長は、営業戦略について「コロナ禍でマーケットが大きく変化する中で、非常に苦戦を強いられている外食、卸、ホテル関係の業態のお手伝いを一番最初に取り組みたい。現在の状況は当面の間続くため、皆さんに寄り添った提案を進める。当社の強みである自社工場商品のローストビーフとハンバーグは、家庭内消費での販売を強化する。

当社ができることは、食を通じて人を幸せにする、笑顔にすること。日本を元気にする販売をしていきたい」などと説明した。