戸田会長を再任 全卵会

全卵会の定期総会であいさつする戸田会長

JA全農たまご㈱の東日本の鶏卵事業協力組織である全卵会(会長=戸田順久東京中央鳥卵㈱社長―事務局・JA全農たまご㈱内)は5月17日、東京都港区の八芳園で平成29年度定期総会を開いた。

冒頭あいさつした戸田会長は「卵が余りつつあり、5月の連休前に相場が下がった。それに加えて世の中は人手不足である。バブル絶頂期にも同じように人手不足が大問題となり、私の父が日本卵業協会の会長であった当時、業界を挙げて卵の値上げを認めてもらおうとした。このようなことを経て何とかやってきた。

卵の生産は、私の持論であるが『多少余るくらいがよい』と思っており、今はそのような時期になってきた。卵が極端に余り、生産者が潰れることを望んではいないが、多少は余ってもよいと思う。ただ、この状態がずっと続くかというと、昔とは違う。成鶏更新・空舎延長事業が発動されたし、卵の輸出も年々伸びている。安くなっても、昔より販売の幅が広がっているので、卵が過剰生産だと言っても、私は心配する必要はないと思う。

さらに最近は、生産調整の技術が向上したと聞いており、生産者にとっては様々な手段がそろっている。生産者が過去4年間潤った中で、今度は問屋が頑張る番だと思う」などと述べた。

JA全農たまご㈱の佐子哲也専務取締役は「4月から卵価が前年に比べて50円ほど安くなっている。5年ほど需給状態が高いところでとどまっていた。山が高ければ谷が深くなるのが世の常であり、おそらく1年や2年でこの事態は収まらないと思う。

そのような中で流通が中心の全卵会の皆さんは、この事態にどう対処するかが課題となる。1年近く需給が締まった中で、ビジネスモデルや事業の仕組みを作ってきたと思うが、1歩でも2歩でも早く、変わった環境の中で新しい仕事のやり方を見つけたほうがよい。環境が変わったことを前提にどうしていくかということを、いろいろとお話しさせていただきたい。

この状況を変えるためには、メーカーが減産する、併せて日本国民の皆さんに今まで以上に卵を食べてもらう。この両方をやらなければいけないという答えは分かっているが、その答えを誰が、いつ、どのようにするかは永遠の課題に近い。全卵会の会員も含めて流通側からみると、減産にかかわることは非常に難しいが、卵の消費を伸ばすことに関しては大きくかかわり合えると思う。

JA全農たまごとしても、このような課題にこれまで以上に流通の皆さん、メーカーの皆さんと一緒に取り組んでいきたい」などとあいさつした。

同社東日本営業本部第1営業部の佐藤大二朗部長は、鶏卵情勢について、①飼養羽数は全体的に増えている。5月17日時点の東京の卵価はL150円、M165円で、鶏卵生産者経営安定対策事業の標準取引価格は157円。補てん基準価格185円と、安定基準価格163円を下回る状態がそれなりに続くと予想される。生産者にとって厳しい状況である②ひなえ付け羽数は平成25年から右肩上がりで推移している③需要は増えており、パック卵の1人当たりの家計消費は直近20年で最高④スーパーの購買率ランキングで卵は1位。パック卵を購入する人の平均客単価、平均買い上げ点数は上がるというデータがある⑤直近4年間は卵価が高く、産業規模は5000億円台となったが、今年はこのままだと再び5000億円を下回る情勢である――などと説明した。

戸田会長を議長に選出し、小澤秀太事務局長(鶏卵課長)が5月11日の幹事会で承認された役員の改選、会員の異動、平成29年度事業報告・収支報告、30年度事業計画・修正計画、総会の開催と行事予定について報告した。

30年度の事業計画は、①幹事会・定期総会の開催②定例会の開催③鶏卵情勢などの資料送付④青年部海外視察研修⑤婦人部会観劇――など。

役員改選では戸田会長ら役員と幹事を再任した。役員は次の各氏。

会長=戸田順久(東京中央鳥卵㈱)▽副会長=大場一弘(横浜鶏卵㈱)、神谷岳行(㈱千葉鶏卵センター)▽会計=山田浩樹(㈱山田鶏卵)▽会計監事=大石正(㈱大石商店)▽顧問=河上雄二(新任、JA全農たまご㈱)

全農畜産総合対策部畜産販売課の川口真平課長代理が来賓祝辞を述べて閉会した。

総会終了後の講演会では、㈱ダイヤモンド・リテイルメディアの千田直哉編集局長が「食品スーパーを取り巻く環境と小売・中食の最新事例」と題して講演した。