新会長に松尾邦光氏 日本成鶏処理流通協議会

日本成鶏処理流通協議会の通常総会

日本成鶏処理流通協議会(会長=宮本一彦六ツ美養鶏加工協同組合顧問)は5月10日、東京都千代田区のホテルジュラクで第28回通常総会を開き、役員改選では新会長に印南養鶏農業協同組合(兵庫県加古川市)の松尾邦光組合長を選任した。15年間にわたって同会を率いた宮本会長は顧問に就任した。

総会は小島啓一副会長(新潟ポートリー事業協同組合代表理事)の司会で進め、栗原俊夫副会長(㈱クリチク会長)が『成鶏更新・空舎延長事業』が発動する中での多数の出席者に感謝して開会。

あいさつに立った宮本会長も同事業について触れ「目的が達成できるように願っているが、皆さんに聞いたところ、処理に大変苦慮していることが伝わってくる。生産者からの『何とかしてくれ』との声も聞かれるため、本日は皆さんと知恵を絞り合いたい」と述べた。

また成鶏処理場にもHACCP導入が求められている現状に対しては「食品業界はHACCPの具体化に向けて最終段階に入り、今年度から法制化するとの方針が出ている。当会としても、昨年の全国協議会での勉強などを通じて、皆さんにHACCPが浸透してきたように思う。日を追うごとに取り組む人が増えているが、それぞれが前向きな気持ちで、この2~3年のうちに導入にチャレンジできる体制をつくっていただきたい」とした。

さらに、国内でのアニマルウェルフェア(AW)関連団体の動きについては「我々の業務に批判的というか、中傷するかのような行動がみられる。私はAW関係の審議会の委員だが、その席では(誤解に対して)『実際はこうですよ』と伝えており、鶏をカゴに入れる際も、投げ込んだり、ぶつけたりしていては商品にならないことを話したうえで『作業を丁寧に素早く行なっているだけ』と言っている。AWに対しては養鶏協会や農水省の皆様の知恵もうかがいながら何とか対策を立て、我々の仕事がスムーズに行なえるような体制をつくりたい」などとした。

多数の来賓を代表し、厚労省医薬・生活衛生局食品監視安全課の道野英司課長、農水省消費・安全局動物衛生課の熊谷法夫課長、同省生産局畜産部食肉鶏卵課の伊藤寿課長補佐、(一社)日本養鶏協会の小田上浩史業務第1部長が祝辞を述べた。

30年度の事業計画は①全国協議会や各ブロック会議、例会の開催②海外視察事業(9月18~24日にオランダの成鶏処理場などを視察予定)③青年部会事業④外国人技能実習生制度の実習内容・期間延長についての要請⑤HACCPの具体的導入(普及委員会の立ち上げ)⑥成鶏更新・空舎延長事業への対応――など。

新役員体制は次の通り。

会長=松尾邦光(印南養鶏農協)▽副会長=栗原俊夫(㈱クリチク)、小島啓一(新潟ポートリー事業協同組合)▽理事=徳満義弘(㈱エヌチキン)、白井文治((資)鳥文白井商店)、鈴木竹夫(㈱境食鳥)、松本政和(㈲二幸食鳥)、稲毛田英樹(㈱三和食鶏、新任)▽監事=加藤厚雄(㈱中央食鶏)、玉井竜司(㈱ギフショク)▽顧問=宮本一彦(六ツ美養鶏加工協同組合)

松尾新会長は「会長という大役をさせていただくことになったが、状況としては、非常に厳しい時期での交代ではないかと思う。今年は卵価が悪く、親鳥の正肉も先行きが非常に良くない。また、先ほどから話題に出ているようなAW問題にも取り組まなければならず、非常に危惧している。しかし、理事の方々と一致団結して会の運営に当たりたい。皆様方には宮本会長のとき以上にサポートをお願いしたい」とあいさつし、長年にわたりリーダーシップを発揮した宮本会長に感謝状を手渡した。

宮本会長は「前任者の山岸要さんが体調を悪くされ、私が任期途中で会長を仰せ付かって15年が経った。特別なことはしてこなかったが、理事の方々をはじめ、皆様の絶大な協力によって盛り立てていただき、本当に結束の強い会ができたと思う。本日も農水省や厚労省の皆様に出席していただいたが、我々のような任意団体のところへ『課長』の肩書きが付く人が来られるのは〝まれ〟である。我々のことを本当によく理解していただき、また、ご指導・ご協力もいただいている。養鶏協会様ともうまく事が進んでいるため、これからも生産者と処理場が車の両輪のように関係を密にし、日本の養鶏産業を盤石なものにしていただきたい。今後は顧問として、この会がますます発展することを祈っている。これまでの15年間、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。