成鶏更新・空舎延長事業発動 安定基準価格(163円)割れ 日本養鶏協会
ゴールデンウイーク前の4月23日、鶏卵相場は東京、大阪で各サイズが10円下げ、Mサイズは170円となった。東京と大阪の各サイズの加重平均で示される標準取引価格も162円となり、(一社)日本養鶏協会の平成30年度鶏卵生産者経営安定対策事業『成鶏更新・空舎延長事業』の発動基準となる安定基準価格163円を下回った。
このため、同会では、24日から『成鶏更新・空舎延長事業』を発動。発動は5年ぶりとなる。
『成鶏更新・空舎延長事業』は、日ごとの標準取引価格が安定基準価格を下回った日の30日前(今年の場合3月24日)から、安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けると、事業に参加した生産者に奨励金を交付するもの。奨励金の単価は1羽当たり210円以内で、小規模生産者に配慮し、10万羽未満層は同270円以内となる。
なお、成鶏更新・空舎延長事業が発動中は、10万羽以上層には価格差補てん事業の補てんを実施しない。また、出荷された成鶏の処理に協力した食鳥処理場には1羽23円以内の奨励金を交付する。
同会では、事業に参加する生産者は「平成30年度成鶏更新・空舎延長事業参加通報書」に必要事項を記入して通報するとともに、食鳥処理場には「出荷計画申込書」を提出し、承諾を得てほしいとしている。また、鶏の食鳥処理場への出荷に当たっては、「食鳥処理場の過重労働などにならないよう、食鳥処理業者と十分に調整の上、関係法令などに留意しつつ、計画的に出荷してほしい」としている。
成鶏更新・空舎延長事業への参加羽数がどの程度になるかは、現段階では不明。ただ、基金加入数量が約203万トンと増加していることを考えると、最終的な参加羽数が2013年の約500万羽を上回らないと、卵価の低迷が長引く可能性が高いとみられる。
また、前回に比べると成鶏肉の販売価格が弱含み気味で、成鶏処理羽数が一時的に集中すると、関係者の間では、食鳥処理場の処理能力や成鶏肉の過剰在庫、食鳥検査員の時間外対応などの問題が起こると言われており、同事業への参加羽数にブレーキがかかりかねないと懸念している。
4月の鶏卵相場は、月初から下押しの展開が続き、月間平均は東京が前月比21.96円安の178.75円(前年同月比47.90円安)、大阪が同19.06円安の179.75円(同40.50円安)、名古屋が同21.96円安の183.75円(同42.30円安)、福岡が同18.81円安の175.00円(同35.25円安)となった。
ゴールデンウイーク明けの5月7日は各地で約5円下げ、Mサイズは東京と大阪が165円、名古屋が170円、福岡が160円。販売の苦戦が続けばさらに下げる可能性もある。
4月の鶏卵価格差補てん12.537円
日本養鶏協会は、鶏卵生産者経営安定対策事業の『価格差補てん事業』の4月の標準取引価格が171円07銭で、補てん基準価格(185円)を下回ったため、補てん金は差額の9割に相当する1キロ当たり12.537円になると発表した。
ただ、成鶏更新・空舎延長事業の発動で、10万羽規模以上には、4月24日以降分にかかわる補てん金が支払われないことになる(具体的な計算は日本養鶏協会に問い合わせを)。