成果出すHACCP、リスクベースの品質管理学ぶ HACCPと経営が開催
玉子焼き協議会会員対象に第1回「品質管理責任者のための基礎知識習得研修会」
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のサポート事業などを行なう(一社)HACCPと経営(戸ヶ崎惠一代表理事)は9月18日、千代田区内神田のフォーラムミカサ会議室で、玉子焼き協議会(決めていれば会長名)加盟企業を対象とした第1回「品質管理責任者のための基礎知識習得研修会」を開いた。
HACCPと経営で理事を務めている㈱ヤマナシヤの久松一弘社長が、「分からないことがあれば、どんどん聞き、有意義な時間にしましょう。品管(品質管理)の経験がある人は少なく、基礎知識やベースのあるなしでも大きく違うが、先日も厚労省の担当者が、これまで構築され、経営を守ってこられた衛生管理のノウハウに『皆さん自信を持ってください』と話していた。
HACCPは『それらのノウハウを紙に書いて見える化し、それがきちんと毎日できているかを定期的に振り返り、もっと良いやり方を研究して高めていく取り組み』とされ、厚労省の担当者も、施設などのハードではなく、皆さんの知恵を使って工場の衛生管理を進化させていってほしいとしていた。本日は、その内容を光藤清志理事に、皆さんの質問に答えながら詳しく講義していだく」とあいさつ。
スーパーの総菜部門のシステム構築や、大手弁当・総菜企業の研究所顧問などを担当した品質管理の専門家の光藤清志理事が、出席者にクイズや宿題を出したり、対話したりしながら講義。
目的は〝やるHACCP〟〝とるHACCP〟ではなく「HACCPを生かして成果を出す品質管理室を創ること」とし、①従業員のスキルアップ②お客様の信頼度アップ③企業成長――という成果を出す(出なければ方法に間違いがあると考える)HACCPの構築や、品管の仕事内容と優先順位、レベルアップに向けた「振り返り」の指標や様々な場面でのコミュニケーションツールにもなる「安全保障プログラムチェックシート(CS)」などについて解説した。
最も大事なポイントとして〝毒や菌は一切ダメ〟という旧来の「ハザードベース」の考え方と、摂取量と発症率の関係などの科学的知見に基づいた「リスクベース」の考え方についても説明し、「絶対に覚えて帰り、皆さんの意見を作ってほしい」と強調。小さな成功を重ねていく重要性や、取引先企業の品管と的確にコミュニケーションできる品管の育成を目指していることなどを説明した。
台風15号発生時の停電など危機対応の事例報告も行ない、リスクヘッジとして①高価だが冷蔵庫を一定期間動かせる発電機②自社冷蔵庫の機能停止に備えた保冷・冷蔵車やレンタカー事業所、エリアの営業倉庫③通信回線の不通に備えた予備事務所――などの確保や検討が有効であることを確認。「働く仲間のケアも重要で、食料品の販売も停止したため、アクアラインで神奈川県へ食料調達に行き、弁当などを従業員らに配った」「HACCPで構築した緊急連絡網が役に立った」ことなども報告された。
玉子焼き協議会は、伝統的な日本食の「玉子焼き」のメーカーに共通する課題の解決や相互研さん、製品の魅力やリスク評価に基づいた安全性情報などの発信を目指している。第2回以降の研修会も定期的に実施する予定。入会希望も随時受け付けており、問い合わせは事務局の㈱ヤマナシヤへ。