シリーズ 未来を拓く養鶏家!!④ 「販売ありき」の神奈川中央養鶏農協
神奈川中央養鶏農業協同組合(彦坂誠組合長―神奈川県愛川町三増1000)の直売店『卵菓屋(らんかや)』の成長が、地域に活気を与えている。同店と同農場を訪ね、大事にしている方針や取り組みを聞いた。
「カナチュウ(神奈中)」の愛称で知られる同組合が設立されたのは、今から62年前の1957(昭和32)年。全国初の集団養鶏を行なう農協として、彦坂誠組合長の祖父で〝養鶏革命の父〟と言われた故・彦坂茂一氏が初代組合長となり、7世帯17人でスタートした。
組合はその後、40農場近くまで拡大した一方、周辺の急速な宅地化などにより、70年には本所を座間から、分場を置いていた現愛川町に移転。組合長も、誠氏の父親で、同組合と養鶏産業全体の発展に尽力した故・彦坂治美氏が2010年まで務めた後、誠氏のいとこおじの彦坂茂氏(現会長)から、誠氏に昨年バトンタッチした。
現在は14農場75組合員で合計約50万羽(1農場当たりの羽数は約3万~15万羽)を飼養。「良い卵は健康な鶏から産まれる」との考えに基づき、飲水は井戸水を浄化した水道水を使う。後述する最高級卵『クレタマ』には、非遺伝子組み換え、ポストハーベストフリーのトウモロコシなどにゴマや酵母、ミネラルを添加し、ビタミンEとアスタキサンチンを強化するなど、飼料にも非常にこだわっている。
生産した卵は直販のほか、荷受を通じて首都圏の有名スーパー、生協などに販売。最近では毎月2㌧強を香港とシンガポールにも輸出している。
小規模でも生き残ってこれたのは「共同で購買、販売し、生産してきたから」と彦坂組合長。養鶏農協では、各組合員の農場は独立採算制だが、「あくまでも販売ありきの生産。行き先のない卵は作らない」との方針を組合員全員が共有し、皆が販売の方を向いて、毎月の理事会だけでなく組合全体の運営会議も実施するなど、一体感を持って運営している。
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