年末の鶏肉需給は不足ぎみ 食鳥協理事会

 

年明けに鳥インフルの影響も

(一社)日本食鳥協会(佐藤実会長)は11月13日、ウェブ会議システム「Zoom」を使って令和2年度の第4回理事会を開いた。

冒頭あいさつした佐藤会長は「鶏肉の市況は非常に良い環境で、荷不足感もあって年末の要請に応えられるかどうか不安がある。3年ぶりに発生した鳥インフルエンザが早く終息することを願っている」などと述べた。

理事会では、令和2年度事業の概要と実施状況を報告し、了承した。来年1月8日に東京會舘(東京都千代田区)で開催を予定していた新年賀詞交歓会は、新型コロナウイルスの感染状況を考慮して中止する。

最近の鶏肉の需給動向について、各部会から次のように報告された。

▽生産加工部会=生産面では暑さに苦労したが、現在は順調に体重が乗っている。販売面では一部、外食向けが減少しているが、全体では順調である。

▽荷受部会=販売は春から順調。7~9月は落ち込んだが、現在は売れ行きが戻り、好調となっている。量販店は前年実績を上回っているほか、外食はGoToキャンペーンの関係もあり、焼き鳥店舗も前年実績近くに戻りつつある。

正肉の動きが非常に良く、冷凍品も不足している。むね肉も加工筋が好調で品不足となっており、不足分はささみで対応している。年末の対応については骨付きもも肉などが品不足であり、今年は冷凍品が活躍することになるとみられる。

▽小売部会=外出自粛もあって3月以降、非常に落ち込んでおり、第3波が発生すれば、12月20日頃まで落ち込むことが懸念される。年末年始の対応に苦慮している。

▽種鶏ふ卵部会=年末の需要期に向けたひなは思った以上にえ付けされていない。香川県で鳥インフルエンザが発生した影響で、県内の孵卵場からブロイラーひなの出荷ができなくなったため、このままだと近畿・中国地方で、年明けに影響が出るとみられる。

国産チキンの缶詰開発などで意見交換 鶏肉市場活性化委

日本食鳥協会は同日、「Zoom」を使って第2回国産鶏肉市場活性化事業実行委員会(委員長=辻貴博貞光食糧工業㈱社長)を開いた。

冒頭、辻委員長が「国産チキンの需要は堅調であるが、業界一様というわけにはいかない。理事会での各部会の報告では外食向けが非常に苦戦している一方で、スーパー向けは非常に好調とのこと。品物が足りないため輸入物を使うところがスーパーでも増えてくるのではないか、という懸念材料も挙げられた。このため、国産の優位性をしっかりと持った国産チキンの需要を作っていかなければならない。先日の60周年記念式典の記念品として『丸鶏レシピ』のDVDを作成したが、このようなことを地道に続けていくことも大事だと思うし、日本の食文化とつなげて国産チキンの優位性とファン拡大に努めていきたい」などとあいさつした。

委員会では、国産チキンまつりと、60周年記念式典について報告があったほか、令和2年度事業の進ちょく状況(二代目キャラクターの具体的な運用方法、新規販促物の作成、国産チキンの缶詰開発など)について意見交換した。

国産チキンの缶詰開発について佐藤会長は「今では人気のむね肉や、販売に苦労している皮などの不需要部位の商品開発で、保存が利く缶詰はいろいろな場所で重宝されると思う。開発のプロジェクトチームを立ち上げたい」などと述べた。