「需要に見合った生産体制構築」を JA全農たまごが取引先に要請
鶏卵相場が連休前・後に急落
新型コロナウイルスの感染拡大対策として政府は4月16日、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大。不要不急の外出自粛や飲食店の営業自粛などの要請が、すべての都道府県で強化されたことから、日本全体の業務・加工需要が、かつてなく縮小している。量販店やドラッグストアの需要は、平年を上回って推移しているが、買いだめ需要の一巡もあり、鶏卵相場は4月20~27日の約1週間で3回下落。連休明けの5月7日も値下がりし、東京M基準値は合計40円下げ、5月7日時点は前年同日を15円下回る170円となっている。
ゴールデンウイーク前に相場が下落する異例の事態を受け、JA全農たまご㈱(小島勝社長―本社・東京)は4月27日、各取引先に対して「需要に見合った生産体制構築のお願い」を発信し、「需給バランスを保ち、鶏卵の生産基盤を維持するため、自社の荷動きを勘案し、自主的な減羽、誘導換羽等、需要に見合った生産に取り組む」よう要請した。
同社の要請によると、相場動向については「4月7日に政府より発出された〝緊急事態宣言〟以降、外出自粛・飲食店の営業自粛の動きが急速に広まり、業務・加工筋の荷動きは著しく落ち込むこととなり、4月下旬は3度の下押しとなって、東京M基準は180円にまで低下している」としている。
需要動向については「量販店向け需要は引き続き堅調に継続すると予想されるものの、消費構成の約5割を占める業務・加工筋の荷動きが改善しない限り、今後の相場の低迷は避けられない。自粛解除の動きがあるまでは、業務・加工筋の荷動きは低水準で推移すると考えられ、さらなる需給失調もありうる状況」とみている。
このような中で、安定した経営が可能となる環境を実現するには、販売先の業態・状況に連動した「需要に見合った生産が不可欠である」と強調し、「国難ともいえる新型コロナウイルス感染症を業界一丸となって乗り越え、鶏卵業界を維持できるよう、主旨のご理解とご協力をお願いする」としている。