全農、トン約400円値下げ 7~9月期配合飼料価格
米国の作付け遅れで次期に不安も
JA全農とホクレンは6月21日、2019(令和元)年7~9月期の配合飼料価格について、飼料情勢・為替情勢を踏まえて全国全畜種総平均でトン当たり約400円値下げすると発表した。商系メーカーも25日に日清丸紅飼料、26日に中部飼料、27日にフィード・ワンが価格改定を発表した。
配合飼料価格は、平成30年度(30年4月~31年3月)は、第1四半期(4~6月)、第2四半期(7~9月)、第4四半期(1~3月)は値上がりし、第3四半期(10~12月)のみが値下げとなった。今回の発表により、今年度は、第1四半期(4~6月)と第2四半期(7~9月)の2期連続の値下げ(合計値下げ幅は約1250円)となる。平成26年4月以降の値上げ、値下げ計算では、26年1~3月期に比べ2050円安となる。
今回の値下げの要因について全農は、シカゴの穀物価格は上昇するものの、為替の円高などからトウモロコシや大豆かす価格が値下がりするためとしている。ただ、米国中西部で今春多発している自然災害で作付けが大幅に遅れていることから、6月30日現在のトウモロコシ価格は月初より1ブッシェル当たり約50セント高い420セント前後、大豆も約70セント高い910セント前後で推移しており、飼料関係者の間では、早くも「次期配合飼料価格は値上がりする可能性高いのでは」と心配されている。
全農が発表した飼料情勢は次の通り。
▽飼料穀物=トウモロコシのシカゴ定期は、3月には370セント/ブッシェル前後で推移していたが、3月29日に米国農務省が発表した作付意向調査では、作付面積と四半期在庫が予想を上回ったことから350セント/ブッシェル台まで値下がりした。その後、潤沢な在庫状況から弱含みな展開が続いたが、米国産地での降雨が続き、作付け進度が大幅に遅れたことから急騰し、現在は450セント/ブッシェル前後となっている。今後は、夏場の受粉期に向けて、天候に左右される相場展開が見込まれる。
▽大豆かす=大豆かすのシカゴ定期は、3月には340ドル/トン前後で推移していたが、米中間の貿易摩擦などにより、米国からの大豆輸出が低調に推移していることから320ドル/トン前後まで値下がりした。その後、米国産地の降雨による作付け遅れ懸念から上昇し、現在は350ドル/トン前後となっている。国内大豆かす価格は、シカゴ定期の値下がり、および為替の円高などにより、値下がりが見込まれる。
▽海上運賃=米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、2月には40ドル/トン前後で推移していたが、中国向けの石炭や南米産大豆の輸送需要が増加したこと、原油相場が堅調に推移していることから上昇し、現在は45ドル/トン前後で推移している。今後は、南米産穀物の輸出需要が本格化することから、海上運賃は強含みで推移するものと見込まれる。
▽外国為替=外国為替は、3月以降、好調な米国経済を背景として111円前後で推移していたが、5月に入りトランプ大統領が中国に対し追加関税を課すと表明したことにより円高が進み、現在は108円台で推移している。今後は、米国経済は好調であるものの、米中貿易摩擦の長期化による世界経済の減速懸念もあることから、相場は現行水準で推移するものと見込まれる。