HPAIの防疫措置見直しと生産者支援を 千葉県農業協会養鶏部会

農水省と自民党に要望

(一社)千葉県農業協会養鶏部会(宮澤哲雄部会長)は2月17日、農林水産省と自民党本部を訪れ、宮内秀樹農林水産副大臣、自民党の二階俊博幹事長と林幹雄幹事長代理に「高病原性鳥インフルエンザ発生時における防疫措置の見直し及び地元生産者の支援に関する要望書」を提出した。

昨年11月5日以降、衛生管理が高度な最新農場を含め、17県50事例(2月15日時点)のHPAI発生がみられる中、千葉県でも12月24日から立て続けに11農場で発生したことについて、要望書では「県内生産者は戸惑いとともに戦々恐々としている。発生した農場には鶏舎に小さな穴があるなどの何らかの不備があったのかもしれないが、本疾病の全国的なまん延の原因は渡り鳥などの野鳥であると推測される中、今季の発生は台風などと同様に天災と考えるのが妥当である。国民に低価格で良質なたんぱく質を供給する産業に従事する者として、産業育成とその推進の観点から飼養衛生管理基準の運用と指導をお願いする」とし、次の4点について要望した。

1 発生農場と関連会社における従業員の雇用維持について
飼養再開までの間において農場従業員と運送などの関連会社の雇用維持を図るため、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置のような助成制度の創設を願う。

2 移動制限と搬出制限区域内の農家における家きん卵のGPセンターへの出荷について
10万羽の飼養を想定すると、1日当たり6トン前後の鶏卵が生産されている。通常の搬出用トレイでの貯蔵にも数的限界があり、廃棄するにも場所の確保が難しい(たい肥舎などの鶏糞処理施設の受け入れ量にも限界がある)。防疫指針においては、条件を満たせば県と動物衛生課との協議によりGPセンターに出荷することができるとされているが、条件確認後の協議と決定の1日も早い対応をお願いしたい。また、国と県の協議については、口頭や電子メールなどの対応で迅速に行なってほしい。

3 大規模養鶏場における発生時の防疫措置について
不眠不休で対応されている県職員、自衛隊員、国職員には感謝の意を表する。しかしながら、5万羽も100万羽も同じ行政の体制の中で処理するには相当に無理があると思われる。また、処分鶏の減菌処理のために埋却して土に還せばよかった小規模な時代と異なり、現在は、周辺住民の環境意識も高く、自己所有地といえどもなかなか許されなくなってきている。廃棄物としての観点から合理的で安全な手法の早期開発を望むものである。

4 鶏病研究の充実について
今回の鳥インフルエンザの発生の仕方は、これまでと様子が大きく異なってきており、ウイルスの変異などが起こっていることも予想される。感染力や感染経路など鳥インフルエンザウイルスの性質や変異の傾向などを正確に知り、効果のある対策を講じていけるよう研究費を予算化していただきたい。