日本養鶏協会が実施主体に 鶏卵生産者経営安定対策事業
農林水産省は3月16日、公募していた平成23年度予算で実施予定の「鶏卵生産者経営安定対策事業」の事業実施主体を(社)日本養鶏協会(栗木鋭三会長)に決定した。日本養鶏協会では、3月中に5ブロックで事業内容の説明会を予定しており、準備に入った。
同事業は、価格差補てん事業と成鶏更新・空舎延長事業が一体となったもので、同省が公表した実施要綱によると、参加できる生産者は、採卵用成鶏めすを常時100羽以上飼養し、その卵を販売している生産者(複数の生産者が集団となっている団体を含む)であれば誰で参加できる。
ただ、事業実施主体となる団体と、生産する鶏卵の全量について価格差補てん契約を結ぶことになる。このほか、5万羽以上を飼養する生産者は、国の行なう生産量などの調査に協力することや、飼料基金加入者は継続して契約すること、農水省生産局長通知の「環境と調和のとれた農業生産活動規範について」に基づいた生産を行なうことなどが条件となる。
価格差補てん事業の基準となる「補てん基準価格」と、成鶏更新・空舎延長事業発動の基準となる「安定基準価格」は、毎事業年度開始前に農水省生産局長が決める。
価格差補てん事業は、JA全農たまご(株)が発表する東京と大阪の加重平均価格から算出した『標準取引価格(月毎)』が、補てん基準価格を下回った場合、その差額の9割を補てんするが、国はその必要経費の4分の1以内(ただし予算の範囲内)を補助する。事業実施主体の団体は、事業年度開始前に生産者の積立金の額を決める。要綱では、生産者積立金の積み立てに関する特例措置を設け、当分の間、農水省生産局長が認めた承認法人が、事業実施主体の下で価格差補てん契約や積立金の管理などを行なうことを認めることができるようにしている。
成鶏更新・空舎延長事業は、日毎の『標準取引価格』が安定基準価格を下回る日の30日前から、同じく上回る前日までが発動期間となり、その間に成鶏を大規模食鳥処理場に出荷し、60日以上の空舎期間を設け、その後にひなの再導入を行なった場合に、1羽当たり200円以内(10万羽以上の大規模は1羽150円以内)の奨励金を交付する。ただ、規模拡大を伴う施設整備に農水省の「強い農業づくり交付金」などの補助を受けている生産者は、その間(当該年度)は奨励金は交付されない。食鳥処理場には、経費に充当される1羽当たり17.4円以内の奨励金を支払う。