鶏ふんを20%減らす配合飼料 全農と北日本くみあい飼料が特許取得

JA全農は、JA全農北日本くみあい飼料㈱(羽田仁一社長―本社・仙台市宮城野区宮城野1-12-1)と共同で、5月28日付で「糞(ふん)量低減のための家きん用飼料」の特許を取得(特許第6891146号)したことを公表した。

鶏ふん量低減飼料は、すでにJA全農北日本くみあい飼料が東北地区で販売を拡大しているが、今後は全国の鶏ふん処理に課題を抱える生産者へ、全農グループの飼料会社を通じ、特許技術を取り入れた飼料の普及拡大を進めていく。

鶏ふん量を低減する飼料の開発については、JA全農飼料畜産中央研究所(茨城県つくば市)が、①消化性の良い原料を積極的に配合(粗繊維質含量が少ない原料)②繊維質を分解する酵素剤を配合して消化効率をアップ③ミネラル含量の調整――などの相乗効果で高い鶏ふん量低減効果が期待できることを確認していた。

JA全農北日本くみあい飼料では、生産者からの「産卵成績や飼料摂取量は変わらずに、鶏ふんが減るエサがあると良いのに」との要望を受け、JA全農飼料畜産中央研究所と技術情報を交換しながら、東北地域の飼料原料事情や、工場の製造体制、提案できる配合飼料の価格レベルを考えて、平成30(2018)年4月に独自に鶏ふんが約20%低減する採卵鶏用配合飼料『くみあいUNKシリーズ』(略称『UNK』)を開発して販売を開始した。

鶏ふん低減飼料による直接的メリットは、鶏ふん量の減少と処理費の節約だが、実際に鶏ふん低減飼料『UNK』を使用した生産者からは、「使い始めて鶏ふんがすぐに変わり、鶏ふん量が20%は減っている」「飲水量も明らかに減り、鶏ふんもベチャベチャしない」「鶏ふん量の減少でコンポの稼働時間も減らすことができ、電気代の節約にもなった」「寒いと発酵が遅かったが、鶏ふんの水分が少ないためか、冬でもいつものように発酵が進む」「トラックに積む鶏ふん量が減ったので、トラックの燃費が良い」「何も言わなかったのに農場職員が『最近何か変えました?』と気づいた」「産卵率や卵重、卵殻強度など、その他の卵質は全く変化していない」などのうれしい声が聞かれるとのこと。

同社では、配合飼料価格はトン当たり1000~1500円高くなるが、直接的メリットのほかにも①鶏ふんが固くなることによる汚卵の減少②水分量が少なくなり発酵が進みやすくなる③鶏ふん輸送量が減ってトラックの燃費が良くなる④糞乾ブロワーやコンポの稼働が減って電気代が節約される――などの間接的メリットも大きく、価格上昇分は十分にカバーできるとしている。令和2年度の供給量は同社の採卵鶏用配合飼料の半分弱を占める月1万トンとなっている。