経営安定対策は畜産部会に諮問へ 養鶏・鶏卵行政の透明性向上へ改善策

農林水産省は、第三者委員会の「養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会」が6月3日にまとめた報告書を受け、6月15日に改善策を公表した。

報告書では、一連の問題で養鶏・鶏卵行政の「政策がゆがめられた事実」や「政策決定の公正性に影響を与えた」ことは認められなかったとする一方、今後、養鶏・鶏卵行政に関する国民からの信頼を十分に得るためには「行政の透明性をさらに向上させることが重要」と指摘していた。

農水省が示した具体的な改善策のうち、OIE連絡協議会については、①メンバー構成を川中、川下、消費者、環境分野も含めたより多様なものとする②関係団体からの推薦を受けてメンバーを選定する際は、推薦理由を確認できる文書(推薦状)の提出を求める③メンバーの選任に当たっては、審議会委員の選任の基準(女性比率30%以上等)に準拠する④議事運営について、現状の事務局による進行ではなく、互選等により進行役を置いて議事を進行する方式とする⑤発言者を明示した議事概要を作成し、出席者の確認をとった上で公表する――とし、OIE連絡協議会と類似の機能を持つ他の協議会(コーデックス連絡協議会、国際植物防疫条約に関する国内連絡会)も同様に見直す。

アニマルウェルフェアの推進に当たっては、①アニマルウェルフェアに関する最新の科学的知見や国際的動向を考慮した施策を推進するため、「国内外の研究機関等におけるアニマルウェルフェアの向上に資する研究成果の収集」「各国(欧米諸国、アジアモンスーン地域等)のアニマルウェルフェアへの取り組みに関する調査」「流通・食品加工・外食・小売事業者等のアニマルウェルフェアに関するニーズの把握」を恒常的に実施する②前記により把握した情報を共有し、アニマルウェルフェアに対する相互理解を深めるため、幅広い関係者による意見交換の場を定期的に開催する――としている。

日本政策金融公庫の融資については、個別事業者(業界団体を含む)から、国会議員(元国会議員を含む)または農水省の退職者の仲介を受けて融資に関する要望や公庫担当者の紹介を依頼された場合には、農水省がとった対応を記録し、行政文書として保存する。

鶏卵生産者経営安定対策事業の政策決定プロセスについては、①事業が発動する基準となる価格について、今後、食料・農業・農村政策審議会畜産部会に諮問し、意見を聴いた上で決定する②事業の見直しに当たっては生産者、関係事業者に加えて、事業と利害関係のない有識者もメンバーとする検討会を設置し、多角的に議論する③規模別の契約者数・契約数量・補助金交付総額を新たに公表する――としている。

利害関係者との会食については、①政策形成上重要な役割を果たしている農水省幹部職員(室長以上)を対象に、飲食の届出に関して「利害関係者と飲食を共にする場合には、金額に関わらずすべて届け出る」「農水省の政務三役および利害関係者と飲食を共にする場合には、当該会食の場でのやりとりの概要を作成し、届け出る」とする省独自ルールを新たに設ける②職員が利害関係者と飲食を共にする場合には、自己が負担した費用を証明する書類を入手・保存するよう徹底する③国家公務員倫理規程や省独自ルールに基づく飲食の届出を徹底するとともに、届出があったものについて、倫理監督官が中心となって国民の疑惑を招くような会食がなかったか定期的にチェックする④国家公務員倫理審査会事務局を講師とし、幹部職員を対象に研修を行なうなど、公務員倫理の順守徹底を図る⑤国家公務員倫理規程に違反する会食が確認された場合には、厳正に対処するとともに、これまで公表していなかった懲戒処分に至らない省内ルールに基づく矯正措置を行なった事案についても公表する⑥政務が交代する際に、今般の違反事案および国家公務員倫理規程や省独自の飲食の届出に関するルールについて、文書で説明する――としている。

15日の閣議後の会見で野上浩太郎農相は「これらの改善策を確実に実行し、二度と国民の皆様から疑念を持たれる事態が生ずることのないよう、常に国民の皆様からの厳しい視線を意識しつつ、公正で透明性のある農林水産行政の遂行に取り組んでいく」と述べた。