養鶏は4.4%減の8231億円 令和元年農業産出額

鶏卵4549億円、ブロイラー3510億円

農林水産省が3月12日に公表した令和元年(2019年)の農業総産出額は、野菜や鶏卵などの生産量が増加して価格が低下したため、前年を1.8%下回る8兆8938億円となった。鶏卵とブロイラー、採卵鶏の親めすを合計した養鶏の産出額は前年比4.4%減の8231億円(農業総産出額に占める構成比9.3%)。

農業総産出額は近年、米、野菜、肉用牛などの需要に応じた生産の進展などを主な要因として増加傾向で推移し、平成27年以降は3年連続で増加してきたが、令和元年は野菜や鶏卵などの価格低下から、前年に比べ1620億円減少した。

鶏卵は近年、他の食品に比べて相対的に割安感があり、消費量が増加傾向にある中で、経営の大規模化の進展に伴い生産量が拡大。特に平成29年以降は毎年過去最高を更新し、平成26年以降の産出額は5000億円前後で推移してきたが、令和元年は生産量が引き続き増加して需給が緩和し、鶏卵相場は前年を下回って推移(JA全農たまご・東京M相場は前年比7円安の173円)したため、産出額は前年比5.5%減の4549億円(同構成比5.3%)。

ブロイラーは近年、消費者の低価格志向や根強い国産志向などにより、鶏肉の家計消費量が年々増加するとともに、健康志向と簡便性を求める消費者ニーズに対応したむね肉の加工品(サラダチキン)などの需要が堅調で、平成25年以降の産出額は6年連続で増加してきたが、令和元年はブロイラーの国内生産量が過去最高を更新した前年よりもさらに増加して需給が緩和し、もも肉、むね肉ともに価格が前年を下回った(日経・東京相場はもも肉・むね肉合計で前年比48円安の829円)したため、産出額は前年比2.7%増の3510億円(同構成比3.9%)となった。

肉用牛は生産基盤の強化に伴い、引き続き和牛の生産頭数が増加したことや、和牛に比べ低価格な交雑牛が堅調な需要を背景に価格が上昇したことなどが寄与し、令和元年の産出額は前年比3.4%増の7880億円(同構成比8.9%)。

生乳は牛乳・乳製品の消費が堅調に推移する中、牛乳等向け生乳の取引価格の引き上げにより総合乳価が上昇したことに加え、性判別精液を活用した効率的な後継牛確保の推進などで生乳生産量が増加したことが寄与し、令和元年の産出額は前年比2.1%増の7628億円(同構成比8.6%)。

豚は前年の猛暑による繁殖不良の影響で5~6月に出荷頭数が減少したものの、7月以降は出荷が回復したことに加え、堅調な家計需要を背景に価格も堅調に推移したことが寄与し、令和元年の産出額は前年並みの6064億円(同構成比6.8%)。

農業総産出額(令和元年、概算)と年次別養鶏産出額