自粛で外食がさらに低迷 4月の鶏卵・鶏肉需給動向

相場動向は家庭消費が左右

新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、4月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言が出された。密集・密閉・密接の3密を避けることや、不要不急の外出自粛、さらには接待などを伴う飲食店などへの出入り自粛も強く呼びかけられ、卵や食鳥肉の需要も、内食志向が一層強まっている。

【鶏卵】量販店やドラッグストアなどの小売り需要は、波があるものの基調として前年を上回る推移が継続。2月27日の政府の学校休校要請、3月25日の都知事の外出自粛要請など、週末の前に何らかの発表があるたびに、発注数量が大幅に引き上がり、〝家庭内在庫〟が増えると小康状態に戻るといった状況を繰り返している。直近では3月末の「4月1日から都内がロックダウンされる」とのデマに一部の消費者が反応し、発注数量を再び急増させたスーパーもあったようだ。4月に入ってからは、全体としては一時より落ち着いているが、緊急事態宣言が7日に出されるとの見通しを受けた首都圏の小型店などの都市型スーパーを中心に、通常より多い引き合いが続いているという。

業務・外食需要は、行政の自粛要請が強まる中、ますます厳しい情勢。マクドナルドはドライブスルーやデリバリー、持ち帰り品の「モバイルオーダー」などの対応でファミリー層などの中食需要を取り込み、春の『てりたま』シリーズもほぼ予定通りの数量を売り切ったようだが、在宅勤務が広がる中、オフィス街に多い牛丼チェーンなどは店内需要の減少に苦しんでいる。その他の居酒屋や飲食店、宿泊施設は深刻な客数減に直面関連記事しており、業務筋との取引が多い卸や問屋では、定期入荷の荷物を減らすなどの対応を余儀なくされている。

加工卵需要も、製パンやコンビニのボイル向けが伸びている一方、近年割合が高まっていたホテルや飲食店、贈答用の菓子向けなどは大幅減。

鶏卵相場は小売り関係の引き合いの急増を受けて、いずれも木曜日の3月26日、4月2日に上昇し、東京M基準は210円となっている。

【鶏肉】国産チキンも卵と同様に、スーパーなどへの小売り需要が、波はありながらも例年より伸びている。

一方、外食関係は、ファミリー層などの持ち帰り需要を受けてKFCが好調を維持しているほかは、きわめて厳しい状況。国産鶏肉を採用している大手チェーン店の間でも休業の動きが広がっており、鳥貴族は直営店全店(394店舗)の4月4日から12日までの臨時休業を発表。「塚田農場」などを運営するエー・ピーカンパニーも4月2日から基本的に全店一斉休業(地域によって10日、15日、21日まで)を発表するなど、業務・外食需要がさらに縮小する情勢となっている。

生産も好調で潤沢な供給があり、例年であれば相場は下降曲線を描く局面だが、3月は小売り需要に支えられ、月末(3月31日)の日経・東京正肉加重平均は、もも肉が月初比13円安の575円、むね肉が月初と同じ242円(昨年3月末は、もも肉が月初比40円安の609円、むね肉が20円安の230円)と、値下がり幅は前年より抑えられている。ただ、もも・むねの合計は817円と、相場水準自体は非常に低迷している。

4月の相場展開は、このような需給動向から、非常に不透明だが、鶏卵・鶏肉ともに家庭消費が相場を左右する展開になるとみられる。