盛岡、名古屋、宮崎の3会場で『アビVG/GAネオ』発売記念セミナー

国内初の発泡錠剤型ニューカッスル病生ワクチン

『アビVG/GAネオ』の発売記念セミナー(名古屋会場)

ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン㈱(略称・BIAHJ、永田正社長―本社・東京都品川区)と日本全薬工業㈱(福井寿一社長―本社・福島県郡山市)は、国内初の発泡錠剤型ニューカッスル病生ワクチン『アビVG/GAネオ』の発売記念セミナーを5月14日に盛岡市のメトロポリタンホテル盛岡、16日に名古屋市の名古屋栄東急REIホテル、17日に宮崎市の宮崎観光ホテルで開いた。

今年4月に新発売した『アビVG/GAネオ』の特長は、①腸管と呼吸器で増殖するニューカッスル病ウイルスVG/GA株を使用②使用者が安全に取り扱いでき、調製時のミスが起こりにくい③ワクチン調製作業が簡便で、輸送や保管がしやすい④廃棄物が少なく、地球環境にやさしい――など。製造販売業者はBIAHJ、販売元は日本全薬工業。

16日に名古屋市で開催のセミナーでは、主催者を代表してあいさつしたBIAHJの中井豊次執行役員ライブストック事業部長がベーリンガーグループの概要を紹介し、「ベーリンガーインゲルハイムは世界でトップクラスの医薬品企業の1つで、1885年にドイツのインゲルハイムで設立された。今日まで株式未公開のファミリー企業として事業を展開している。従業員は約5万人で、世界各地に181社の関連会社がある。2017年の売上高は181億ユーロで、人用医薬品、動物用医薬品、バイオ医薬品の3本柱で事業を進めている。ベーリンガーグループのアニマルヘルス会社であるベーリンガーインゲルハイムベトメディカと、サノフィグループのアニマルヘルス会社であるメリアルが2017年に事業統合し、ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスが誕生した。本日紹介する『アビVG/GAネオ』は、食の安全と地球環境を守ることを具現化した製品である。このような革新的な製品群と技術・情報・サービスの提供を通じて、皆さんの成功に貢献していきたい」と述べた。

セミナーでは、ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルス社グローバルポートリー学術部長のステファン・ルミエール獣医師が「世界の養鶏の最新情報と鶏用ワクチンのイノベーション」、BIAHJライブストック事業部ポートリーマーケティング・学術担当の荒木健詞獣医師が「ニューカッスル病生ワクチン発泡錠剤『アビVG/GAネオ』製品紹介」と題して講演した。

ルミエール氏は、世界の養鶏業界のトレンドとして、①高品質な食肉需要の高まり②食の安全③国際間取引の増加によるバイオセキュリティ④アニマルウェルフェア⑤環境問題と持続可能な農業⑥デジタル革命――を挙げるとともに、さらに詳細なトレンドとして「抗生物質を全く使用しない無薬飼育は『言うは易いが行なうは難し』で、ほとんどの欧米では慎重使用という形で実行されている。ワクチン投与を行なう場所は、現在の農場から、川上の孵化場にシフトしてきている。ワクチネーションが簡便化することと、トレーサビリティが高まるという2つの理由からである。鶏肉需要の高まりとともに、食の安全性やトレーサビリティの必然性が高まってきている。鳥インフルエンザは世界的な脅威で、デジタル技術を用いた精密な飼育管理が行なわれている」などと説明。2030年までに世界の食肉需要は30%増加し、成長カーブは鶏肉が牛肉、豚肉を追い越していることを紹介した。

ワクチンのイノベーションについては「『アビVG/GAネオ』の第1の目的はワクチン投与を簡便にすることで、そのためにバイアル製品ではなく、発泡錠剤として皆さんにお届けする。第2の目的は農場から廃棄物を削減することで、これにより持続可能な養鶏生産に貢献する。ベクターワクチンを使用することで、鶏の免疫基盤をより強固なものにし、大きな問題となっている免疫抑制疾患を予防していく。特に大腸菌などの二次感染による大きな経済的損失を防御できる。鶏の健康を守り、免疫抑制疾患を予防することによって、アニマルウェルフェアの改善に貢献できる」などと述べた。

荒木氏は、ニューカッスル病について「国内では清浄化されているものの、海外からの侵入リスクがあるため、万全の対策を実施すべき疾病である」とし、1戸当たりの飼養羽数や出荷羽数が増加傾向にあり、ワクチン投与の省力化は生産現場では大きな課題になっていると指摘。省力化できるうえに確実に投与できるワクチンとして、従来のバイアル入りの凍結乾燥生ワクチンを発泡錠剤かする技術〝ネオ〟を開発したと説明した。

『アビVG/GAネオ』の特長については「発泡錠剤に色素を添加しているため、ワクチンの種類を色で識別でき、混和されているかどうかも色調で確認できる。ワクチンの調製作業開始から溶解完了までの時間は、従来のバイアル製品の4分の1に短縮された。保管しやすく、持ち運びも簡単で、体積は5分の1、重量は10分の1になった。バイアル製品に比べて感染性廃棄物を大幅に削減し、開発の段階で二酸化炭素排出量を80%、森林資源を70%、水資源の使用量を70%削減した」と紹介した。

ワクチン株に使用したVG/GA株の特長としては、①七面鳥の小腸と糞便から分離された株②呼吸器と腸管の両方で増殖する③高い局所免疫と全身免疫を誘導する④呼吸器系リアクションが小さい――を挙げ、「どのような投与方法(経口、点鼻点眼、噴霧)でも高い安全性と有効性を有する。国内の野外強毒株に対しても高い防御効果を発揮する」と述べた。

日本全薬工業の山下剛史執行役員AB事業部長が「発売記念セミナーは盛岡、名古屋、宮崎の3会場で延べ200人以上の皆さんに参加していただく。また多くのご要望をいただき、個別のセミナーも開催している。本日の限られた時間のセミナーでは、まだ分からないところもあると思うので、お声がけいただきたい。新しい革新的なワクチンに対して強い関心や興味を持っていただいていることを実感している。私たちもこの期待に応えられるような活動を進めていきたい」とあいさつしてセミナーを終えた。