未来拓く養鶏家!!⑤ 宮城県の竹鶏ファーム

日本で一番、ありがとうの〝わ〟が生まれる養鶏場を目指して

高付加価値卵『極旨 竹鶏あかたまご』㊧と、白玉の『竹鶏たまご』

大変革の時代を迎え、新しいことにチャレンジする養鶏家が増えている。宮城県白石市の㈲竹鶏ファームも、新世代が未来に向けてパワフルに頑張っていると聞き訪問した。

㈲竹鶏ファームは、仙台市内から東京方面へ車で約1時間、東北新幹線の白石蔵王駅からは約10分の土地にある。
農場は、大動脈の国道4号線沿いに立地し、東北道の白石インターも近いなど、物流面のアクセスは良好。

現在、経営の最前線に立っているのは、志村竜海(たつみ)専務取締役(36歳)と、今回主に話を聞いた志村竜生(りゅうき)常務取締役(34歳)。

竜生氏は東京農大を卒業後、企業に2年間務めてから2010年に入社。東京在住時代に、NPO「農家のこせがれネットワーク」代表の養豚家、宮治勇輔さんに刺激を受け、自らも地元に「宮城のこせがれネットワーク」を設立。学生から行政関係者まで、幅広い人々が集まる同会の会長を2年前まで務めた(活動は現在も継続中)。兄の竜海氏も、町おこしのNPOなどの関わりを経て、2012年に経営に戻ってきた。地元には、2人が参加する若手養鶏家の集まり「若鶏会」もあり、見学会などを随時催している。昨年は「たまごニコニコ大作戦」にも参加し〝卵を2個食べて元気になろう!〟とアピールした。

飲水は竹炭で浄化し、衛生的な鶏舎で健康な鶏を育てている

バイタリティーあふれる志村家の養鶏の歴史は、2人の曾祖父の志村富治(とみじ)氏と、現会長で祖父の幸一氏が採卵鶏を飼い始めた、昭和30年代(1955年前後)にさかのぼる。65年に志村養鶏場となり、87年に父親の志村浩幸現社長が就農。飼養規模も当時の約2万2000羽から、現在は約4万羽となっている。

飼養羽数が徐々に増えるにつれて、課題となってきたのが鶏糞の処理。周囲に住宅は多くないが、悪臭をできるだけ低減しようと、現会長と社長が試行錯誤を重ねた結果、粉砕した竹炭の飼料添加に行きついた。

農場周囲には竹林も多いことから、94年には炭窯を自社で設置し、消臭効果が期待できる配合割合を研究。鶏の飲水も、竹炭で浄化した地下水を使い、消毒効果がある竹酢液も生産に活用するなど、独自の工夫を重ねたところ、お客さんから「卵の味が変わったね!」「生臭みがなく、濃厚で食べやすい」と、思わぬ高評価を受けた。

当時はちょうど、様々なブランド卵が注目され始めた時代。固定価格で取引できない採卵養鶏を何とかしたいと考えていた志村社長も、オンリーワンのブランディングに取り組むことにし、〝竹から生まれた〟この卵を「竹鶏物語」と命名。96年には商標を登録し、98年には飲水と混合飼料について特許を取得。2000年には、社名を現在の㈲竹鶏ファームとして、竹の恵みを前面に押し出し、02年には全国農業コンクール優秀賞、03年には宮城県の農業賞も受賞した。なお、飼料には地元産の飼料米なども配合し、なるべく〝地のもの、自然のもの〟での鶏卵生産に努めている。

(詳しくは本紙をお読みください)