年末の相場 鶏肉は強含みで高水準推移

11月5日以降に国内で発生した高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)は12月10日現在、8県・21事例で、約250万羽に被害が発生している。

新型コロナウイルスの感染拡大による内食需要の高まりから、量販店や生協からの引き合いが高まっている国産鶏肉は、落ち込みをみせていた飲食店向け需要もGoToキャンペーンなどで回復基調となり、不足気味に推移。鶏肉関係のHPAI被害は、香川県で肉用種鶏約2.1万羽、香川県と福岡県、宮崎県、大分県の肉用鶏農場で約43.1万羽。その影響について関係者からは、香川県内の一部孵化場からブロイラーひなの出荷ができなくなった近畿・中四国地方で年明けに影響が出るが、現在の被害程度であれば、年末の鶏肉需給はパニックになるほどではないとの見方が出ている。

12月に入って、もも肉、むね肉の動きが非常に良いことから、国産鶏肉相場(日経・東京・正肉加重)は、12月3日(もも肉675円、むね肉311円)、4日(同もちあい)、5日(もも肉677円、むね肉309円)と3日連続でもも・むね合計986円をつけ、7日にはもも肉681円、むね肉312円の計993円となり、1000円台も目前に迫っている。

量販店などが今後、在庫が豊富な輸入品の取り扱いを増やす懸念はあるものの、年内の相場は今後も強含みで推移するとの見方が多く、食鳥関係者はHPAIが広がらないことを願っている。

国産鶏肉が強含みで推移している一方、鶏卵相場の動きは鈍い。鶏卵関係のHPAI被害は香川県、兵庫県、奈良県、広島県、和歌山県の採卵鶏農場で約204.7万羽となった。相場が動いたのは11月下旬のみで、12月10日現在、M基準は東京175円、大阪190円でもちあっている。内食需要は堅調に推移し、東から西に卵を送る流れは出ているものの、HPAI発生に伴う輸出の一時停止に加え、新型コロナウイルスの第3波の悪影響が飲食店需要に出て、相場上昇を抑える要因となっている。現状ではさらなる上伸は期待薄との見方が多い。