JA全農たまごが「需要に見合った生産体制構築」を要請
今年の初市卵価、100円でスタート
今年の鶏卵の初市相場(1月7日、JA全農たまご・東京M加重)は、前年の止市相場(12月27日、185円)を85円下回る100円でスタートした。その後、とう汰や換羽誘導などの生産調整により、1月16日と18日には各地とも各サイズで値上がりしたものの、上昇力は弱い。
昨年は5年ぶりに成鶏更新・空舎延長事業が発動され、12月には14年ぶりに相場が下落。鶏卵需給に危機感を抱いているJA全農たまご㈱(小島勝社長)では、これ以上の需給失調を回避し、鶏卵の生産基盤を維持するためには、生産者が需要に見合った計画的な生産に主体的に取り組んでほしいとする「需要に見合った生産体制構築のお願い」を1月11日付で発信した。
全文は下記の通り。
需要に見合った生産体制構築のお願い
昨年は、5年ぶりに成鶏更新・空舎延長事業が発動され、また14年ぶりに12月に相場を下げる展開となるなど、需要面は堅調にもかかわらず、供給過多の状況が続き、卵価は下落しました。
これ以上の需給失調を回避し、鶏卵の生産基盤を維持するため、生産者の皆様が下記の通り需要に見合った計画的生産に主体的に取り組んでいただきますよう、ご依頼申し上げます。
1、生産環境
え付け羽数は平成26年から前年比で増加を続けており、5年期間で考えると平成29年は25年比で114.4%増加しています。直近の平成30年(1~11月累計)でも前年比104.1%と、今後も全国的に生産量が増加基調で推移することが予測されます。
2、相場動向
平成30年は、4月23日に安定基準価格(163円/キロ)を下回り、5年ぶりに成鶏更新・空舎延長事業が発動され、年間の鶏卵相場東京M基準値平均は180円/キロ(前年比27円安)となりました。
平成31年の東京M基準値初市相場100円/キロが示す通り、生産環境から考えると、平成31年の相場はさらに下落することが予測されます。
3、需要に見合った生産について
平成31年の東京M基準値の初市相場は100円/キロという低水準でのスタートとなりました。
このまま生産量の増加が続けば、底の見えない相場下落の可能性も考えられ、健全な鶏卵の生産基盤は保てません。世界経済は変調のきざしが出ておりますが、今のところ鶏卵の需要は堅調に伸びていくと思われますので、昨年並みの生産量の推移であれば需給状況の改善が見込めます。皆様の安定した経営が可能となる環境を実現するためにも、自主的に稼働羽数を抑制していただき、販売量に連動した計画的な生産を行なっていく必要があります。
主旨をご理解いただき、この危機を業界一丸となって乗り越え、鶏卵業界を維持・発展させるため、需要に見合った生産体制の構築にご協力いただきますよう、ご依頼申し上げます。
JA全農たまご東京M基準値年間平均と、日本種鶏孵卵協会調査によるひなえ付け羽数、農水省流通統計を基にした平成31年の鶏卵生産量予測