HPAI 今後も発生の警戒を 3県4事例の防疫措置は完了
11月10日に秋田県横手市の採卵鶏農場(約14.3万羽、H5N8亜型)、13日に鹿児島県出水市の採卵鶏農場(約3.9万羽、H5N1亜型)、15日に同市の採卵鶏農場(約1.1万羽、H5N8亜型)、17日に兵庫県姫路市の採卵鶏農場(約15.5万羽、H5N1亜型)で発生した高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)に関する防疫措置は、11月22日までにすべて完了した。
昨シーズンは、11月5日に香川県でHPAIが発生して以降、半径3km圏内の地域での感染拡大、100万羽以上の大規模農場での連続発生やアヒル農場での発生など、18県52事例、約987万羽の過去最大の被害となった。
今シーズンは現段階(11月29日現在)で3県4事例で発生し、約34.8万羽の被害。発生農場の防疫措置は、秋田県横手市の事例は11月20日、鹿児島県出水市の2事例は11月16日、兵庫県姫路市の事例は11月22日に完了した。その後の清浄性確認検査で異常がなければ、防疫措置完了から10日経過後に3~10kmの搬出制限区域、21日経過後に3km圏内の移動制限区域を解除する。
今後の対応について、秋田県では搬出制限区域を12月1日、移動制限区域を12月12日に解除。鹿児島県では搬出制限区域を12月2日、移動制限区域を12月8日に解除。兵庫県では搬出制限区域を12月3日、移動制限区域を12月14日に解除する予定(最短の場合)。
ただ、北海道旭川市の死亡野鳥(マガモ)からH5亜型の低病原性ウイルス、鹿児島県出水市の環境試料(ツルのねぐらの水)からH5亜型の高病原性ウイルス、同市の死亡野鳥(ナベツル)からH5N8亜型の高病原性ウイルス、宮崎県宮崎市の野鳥糞便からH5N1亜型の高病原性ウイルスが検出されている。今回発生した3県4事例とも、農場近隣や農場内にため池などの水場が確認されたほか、農場内にネズミの糞や足跡などが確認されており、水場周辺に飛来した渡り鳥や野鳥が持ち込んだウイルス量が環境中に高まり、ネズミなどの野生動物を介して農場に侵入したと想定される。今後も発生リスクは全国各地で高いといえる。
このため、自己点検の7項目(①衛生管理区域に立ち入る者の手指消毒②衛生管理区域専用の衣服と靴の設置・使用③衛生管理区域に立ち入る車両の消毒④家きん舎に立ち入る者の手指消毒⑤家きん舎ごとの専用の靴の設置・使用⑥野生動物の侵入防止のためのネットなどの設置・点検・修繕⑦ネズミと害虫の駆除)をはじめとした飼養衛生管理基準の順守と、異常を発見した場合の早期発見・早期通報を徹底し、HPAIの発生防止とまん延防止に取り組む必要がある。