消防用設備の特例基準適用へ 消防庁

畜舎建築特例法に合わせ

消防庁は、今年5月に成立した畜舎建築特例法に合わせ、畜舎での消防用設備等の統一的な特例基準のあり方について検討した報告書を11月16日に公表した。

検討結果では、特例の対象は畜舎建築特例法と同様に畜舎と関連施設、堆肥舎(畜舎等)とし、①防火上と避難上支障がないこと②周囲の状況に関し延焼防止上支障がないこと――の要件を満たすものとしている。

特例基準の概要は次の通り。

【消火器具】初期消火に関係する最低限の消火設備であり、設置が必要。ただし、配置方法については、実態を踏まえた緩和が可能(現行基準は各部分から20mごとに配置)。

【屋内消火栓設備・屋外消火栓設備】設置は不要。

【自動火災報知設備・非常警報設備】原則、設置は不要。ただし、畜産経営のために簡易な事務などを行なう居室が設けられる場合で、当該部分が一定規模以上(自動火災報知設備は床面積の合計が1000㎡以上、非常警報設備は収容人員が50人以上)となる場合は、出火の危険や避難上の支障(特に人命危険のおそれ)に鑑み、設置が必要。

【誘導灯・誘導標識】火災時に利用者の逃げ遅れを防ぐために設けるものであり、避難上または消火活動上有効な開口部が少ない場合は、設置が必要。ただし、各部分から2方向に避難可能で、かつ避難口を見通し、識別できる構造を有するなど、避難が容易である場合は、設置は不要。

【消防用水】広い敷地にある大規模な建物で火災が延焼拡大した場合、敷地外にある公設の消火栓等だけでは消火活動が難しくなるため、迅速な消火活動ができるよう、敷地内に最低限の水利を確保するために設けるものであり、畜舎等が広い敷地にある大規模なものの場合は、設置が必要。ただし、延焼防止上の一定の条件を満たす場合は設置基準について実態を踏まえた緩和が可能。具体的には次の通り。

①木造以外の平屋建てで、高さが16m以下の場合は、設置基準を緩和(5000㎡以上→1万㎡以上)。

②2つ以上の畜舎が接続される場合で、延焼防止上支障のない場合は、別の建物とみなす。

このほか、報告書では「消防庁と農林水産省が連携し、消防機関と畜産関係者に特例基準の内容を周知」「畜舎等の関係者には、新たな特例基準を適用した畜舎等について、出火の危険や避難上の支障が少なく、かつ、出火した場合に他への延焼のおそれが少ない状態(特例の対象とするための要件に適合した状態)を維持することが必要。また、消火器の使用方法や火災時の避難、消防機関への通報等について、訓練を計画的に実施することが有効」「大規模な畜舎については、必要に応じ、管轄の消防本部で畜舎内の水利の活用等について畜産関係者と協議し、個別の畜舎に関する活動方針や計画を定めておくことが有効」などと指摘している。

消防庁では今後、畜舎建築特例法の施行時期を目途に特例基準を定め、農水省と連携して消防機関と畜産関係者に周知する予定。