『かながわ鶏』の試食会 黒岩知事も「おいしい」と太鼓判
神奈川県は8月30日、横浜市中区の神奈川県庁で県産のブランド肉用鶏『かながわ鶏(どり)』の試食会を開いた。
神奈川県内では、肉用鶏農家がおらず、これまで県産のブランド肉用鶏は生産されていなかったが、地産池消の志向が高まり、消費者から「県産の鶏肉を食べたい」、生産者から「県独自の肉用鶏を開発してほしい」など強い要望が寄せられたことから、神奈川県畜産技術センター(竹本佳正所長)が①かながわ生まれ、かながわ育ち②うま味と歯ごたえ③安全・安心④信頼――のコンセプトのもと、8年かけて肉用鶏を作出。肉のうま味に定評がある軍鶏系のオスと、卵肉兼用種である岡崎おうはんのメスをかけ合わせた。平成27年6月に畜産関係7団体と県が設立した「かながわ肉用鶏推進委員会」(事務局・(一社)神奈川県畜産会内)が「かながわで生まれ、かながわで育ち、かながわで食したい」との思いを込めて『かながわ鶏』と命名した。
『かながわ鶏』の統一基準は①神奈川県畜産技術センターで生まれたひなを使用し、県内で育てる②90日以上飼養する③飼育衛生管理基準を順守する――となっている。
試食会は9月の初出荷に先立ち開いたもので、黒岩祐治知事、かながわ肉用鶏推進委員会の鈴木光雄会長(㈲鈴保養鶏園社長)、生産者の織茂武雄氏(織茂養鶏場代表)らが出席。みなとみらいのレストラン「DANZERO(ダンゼロ)」の阿部俊一シェフが調理したガランティーヌ(フレンチ、もも肉)、棒棒鶏(中華風、むね肉)、手羽先の煮物(和風)を試食した。
黒岩知事は「ジューシーでおいしい。歯ごたえがしっかりしている」と感想を述べたほか、『かながわ鶏』の作出に8年かかったことなどに驚いていた。
鈴木会長は「卵肉兼用種の開発を目指してスタートしたが、この8年間にそれが欲張りだということが分かり、ケージでも飼えるような肉用鶏の開発をお願いした。これから『かながわ鶏』を県民の皆さんに広めていきたい」と述べた。
阿部シェフは、試食会で提供した料理について「『かながわ鶏』のうま味と食感を感じられるような料理を選んだ。『かながわ鶏』のブランドがさらに発展した時に、家庭でもおいしく簡単に調理できて、県民の皆さんにとってポピュラーな食材となるように期待を込めた」と話した。黒岩知事から「調理する時に気を使うところは」と聞かれた阿部シェフは「やはり火加減で、強すぎると肉が硬くなってしまうので注意した」と答えた。
神奈川県畜産技術センターは、28年度は県内の採卵鶏農家などに1200羽のひなを配布する予定。かながわ肉用鶏推進委員会では、県内のホテルや飲食店を中心に販路を広げたいとしている。