うずら卵相場 5年ぶり上昇 “NHKためしてガッテン”の反響で
うずら相場の卸値(豊橋市場、30個)が5月22日190円、23日195円、26日200円と、5年ぶりに値上がりし、東京の卸値も28日に193円になった。大阪の卸値は28日現在191円のまま。
NHKの生活情報番組『ためしてガッテン』が5月21日に、うずらの魅力を特集した『あの10円卵で健康美肌!うずら幸せワンダーランド』を放映した影響で、スーパー向けを中心に注文が殺到したため。
同番組では、鶏卵に比べ「ビタミンB12は5.2倍、鉄分は1.7倍」などの豊富な栄養のほか、これまで家庭で作るのが非常に難しかった『うずらの半熟卵』の手軽な作り方や、楽しい皮むきの方法、ペットのうずらが“ひそかなブーム”になっていることなどを紹介。半熟卵を使った「みたらし」などのメニューを出演者が試食し、「おいし~い!」などの感想を漏らす様子が放送された。
一部の24時間営業のスーパーでは、放送直後からうずら卵が売れ出すなど反響は大きく、翌日からの発注は倍以上に急増。ただ、卵の生産量は当然ながら急には増やせないほか、5月は例年、鳥の入れ替えの時期に当たり、供給が年間でも少ない時期に当たるため、注文に応じきれない産地が続出している。
うずらの相場上昇は、豊橋での鳥インフルエンザ(AI)発生の影響で前日比3円高の213円を付けた2009年5月13日以来5年ぶり。うずら相場が動いたのも同年11月20日以来約4年半ぶり。
全国の採卵用うずら飼養羽数は、昭和59年の846万羽がピーク。その後は輸入の水煮の増加や、鶉舎の保温に必須の重油の値上がり、AIの発生、飼料費の高騰などが相次いで急速に減少し、現在は300万羽を割り込み、飼養戸数も昭和49年の1556戸から40戸前後に減少しているとみられる。年間の1人当たり消費量は10個で鶏卵の約33分の1。
うずら関係者は「今回の需要増を一過性に終わらせず、うずらの魅力を伝え続けることで、羽数も現在の2倍程度に回復できれば、後継者が育ち、うずら産業も何とか維持できるのではないか」と期待している。