鶏卵生産者経営安定対策事業に52億円 穀物備蓄も前年度と同額 平成24年度農水予算案

政府は去る12月24日、平成24年度予算案をまとめ、今年1月24日召集の通常国会に提出する。養鶏関係では鶏卵生産者経営安定対策事業の52億円のほか、飼料穀物備蓄対策は前年度と同額で、その他の継続事業も認められている。

23年度からスタートした「鶏卵生産者経営安定対策事業」は、同額の51億8900万円。鶏卵価格が低落した場合の価格差補てん(9割補てんで、4分の3が生産者の積立金から、4分の1が国の補助金から)と、さらに価格が低落した場合の成鶏更新・空舎延長事業(この事業に取り組んだ10万羽以上の大規模生産者に1羽150円以内、10万羽未満の中小規模生産者には同200円の奨励金を交付)で、鶏卵生産者の経営安定と鶏卵価格の安定を図る。
食肉、食鳥、鶏卵などの流通合理化に向けた産地の処理施設を整備する「食肉等の流通合理化に向けた支援事業」は、産地活性化総合対策事業のうちの産地収益力向上支援事業(食肉等流通合理化地区)52億8800万円(23年度123億3100万円、補助率2分の1、3分の1、10分の1以内)や、強い農業づくり交付金20億9300万円(同31億2700万円、補助率2分の1、3分の1以内)、新規の産地再生関連施設緊急整備事業億円に含まれている。
「飼料穀物の備蓄対策事業」は13億7200万円(23年度13億7200万円)で、トウモロコシ・こうりゃんを20万トン(23年度20万トン)備蓄する。
飼料用米の生産農家に10アール当たり8万円を助成する「農業者戸別所得補償制度のうちの水田活用所得補償交付金」は、23年度と同額の2284億3100万円の中に含まれる。
「飼料用米農薬安全確保対策事業」は、飼料用米を籾(もみ)のまま給与する効率的な方法を推進するため、適正な農薬使用を可能とする基準づくりのための試験実施(民間団体)を支援するもので1億3200万円(23年度2億6100万円)。
「エコフィード(食品残さの飼料化)の緊急増産対策」は、利用拡大に向けて食品産業と畜産農家とのマッチング、飼料化の実証などの取り組みを支援するもの。民間団体への補助(定額、2分の1)で6700万円(23年度1億円)。
「多様な畜産経営の推進と競争力強化の支援事業」は、(1)畜産物生産のための共同利用施設などの整備(2)新規就農などに必要となる機械などのリース(3)畜産農家の自己判断により経営の多角化・多様化などを促進するための体制構築などを支援するもの。強い農業づくり交付金20億9300万円(同31億2700万円)の中で対応(事業実施主体への補助率2分の1)。新規就農などに必要となる機械などのリース支援は産地活性化総合対策事業52億8800万円(同123億3100万円)の中で対応(補助率は定額で、リース料のうち物件購入相当の2分の1以内)。畜産経営の高度化・多様化の促進への取り組み支援は多様な畜産・酪農推進事業7400万円(同1億1300万円)のうちの畜産経営活性化サポート事業で対応(補助率は定額)。
「環境と調和した畜産経営の確立」は、畜産経営の苦情発生割合を減少させるため、浄化処理施設や脱臭施設などの整備を支援するもので、強い農業づくり交付金20億9300万円(同31億2700万円)の中で対応(事業実施主体への補助率2分の1)。
衛生関係では、家畜伝染病の発生防止やまん延防止のために都道府県が行なう防疫の経費を補助する「家畜伝染病予防費負担金」が23億800万円(23年度25億2600万円)。
「患畜処理手当て等交付金」は家畜伝染病予防法の規定により、家畜の所有者に交付する、と殺された家畜の手当金や死体の処分などに要した費用で9億2300万円(同10億6400万円)。
「家畜伝染病早期診断体制整備事業委託費」は5300万円(同7300万円)で、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの早期診断体制のため、リアルタイムPCR検査に必要な試薬の製造・配布や、牛白血病の検査用試薬の製造・配布、新たに発見された病原体の収集・分析などを含む。
「家畜衛生の推進」は、消費・安全対策交付金26億600万円(同30億2300万円)のうちのソフト分で、地方の自主性を生かし、家畜衛生に関する監視・危機管理体制の整備や生産性を阻害する慢性疾病などの被害低減対策などに取り組む都道府県、市町村、農業団体などへの補助。農場バイオセキュリティの向上のための防鳥ネット、消毒用機器などの整備も含まれる。
「農場生産衛生向上体制整備促進事業」は、HACCPを取り入れた家畜の飼養衛生管理を推進するもので、1800万円(同2500万円)。
国産農畜産物の安全を確保するため、農畜産物などの放射性物質濃度の調査などを実施するとともに、リスク管理措置の検証に必要な実態調査を行なう「放射性物質による農畜産物等影響実態調査対策」は新規事業で6億8400万円。
このほか「有害化学物質リスク管理基礎調査事業委託費」の1億3000万円(同1憶3000万円)や、サルモネラやカンピロバクターなど7種類の微生物のサーベイランス・モニタリング調査をする「微生物リスク管理基礎調査事業委託費」、動物用医薬品の安全対策、動物検疫所や動物用医薬品検査所の運営費用なども認められている。

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