鳥インフルエンザ保険導入 会員の経営再建を支援
日本鶏卵生産者協会(梅原宏保会長)は、共栄火災海上保険(株)と提携して、世界でも初めてとみられる会員向けの「鳥インフルエンザ経営再建保険」を導入する。
この保険は、(社)日本養鶏協会が国の支援を受けて実施する新しい「鳥インフルエンザ生産者互助基金」を補完して、発生農場の経営再建を支援するもの。
鳥インフルエンザが発生して万一、鶏をすべて殺処分しなければならなくなったレイヤー生産者の場合、農場を再開するためには1羽約2,000円くらいの資金が必要だとされている。
これに対して、家畜伝染病予防法による殺処分手当金は700円前後しかない。国の支援が決まった新しい鳥インフルエンザ生産者互助基金に加入しておれば、経営再建支援資金として1羽670円が支払われるが、この2つを足しても1,370円前後で、これだけでは農場再開資金の2,000円にまだ約600円も足りない。
この差額をなんとかできないかとして考えられたのが、日本鶏卵生産者協会の会員向け限定の保険。1年間の掛け捨て型(損金処理できる)で、1羽2円の掛け金(育成鶏は1円)を払って保険に加入すると、発生による休業期間の長さによって異なるものの、1羽当たり400~500円前後、最高で540円の保険金が支払われる。
これによって、家畜伝染病予防法による殺処分手当金や互助基金の支援金に、保険金の約500円を合わせると約1,870円となり、おおむね2,000円に近づく。
保険金は休業期間が確定した後で支払われるが、保険金のうち180円は鳥インフルエンザ発生時の飼養羽数が確定すれば、内払い保険金として前払いされる。
保険は、万一の鳥インフルエンザ発生に備えるものだが、任意特約として、掛け金に1円上乗せすれば、発生農場でなくても、農場が移動制限区域内に入った場合に、見舞金として1羽36円が支払われるオプションもある。
従来の生産者単独の鳥インフルエンザ互助基金は、レイヤー生産者の場合、毎年1羽4円、3年間で計12円を積み立てるものであったが、国の支援が決定した新互助基金では、生産者は初年度に4円を積み、発生がなければ次年度以降の積み立てがなくなる。
日本鶏卵生産者協会では、この互助基金の積立金の減額の一部を保険の掛け金(年2円、3年間で6円)に充当すれば、従来以上の負担をせずに大きな補償が得られる――としている。
ただ、世界的にも例を見ない新しい保険で、一般の保険のように再保険の引き受け手がなく、集まった保険料のみを原資とした仕組みでスタートせざるを得ないため、年間支払い限度額が設けられている(加入保険料によって異なるが初年度は5億円)。
保険の導入は2月1日からで、初年度の加入申し込みは1月25日が締め切りとなっている。また、日本鶏卵生産者協会への加入も随時受け付けている。詳細は同会(電03・3297・5508)へ。