業界の厳重抗議の成果 大田区長から謝罪の文書
本紙10月5日号既報の通り、養鶏関係10団体は9月24日、東京都の大田区保健所の職員が、鶏卵のQ熱について一方的に記者発表したものを、そのまま報道した日本テレビに厳しく抗議した。次いで29日には、鶏卵業界に多大な被害をもたらす発表を許した職員の適正な管理・指導を求めて、西野善雄大田区長に厳重に抗議し、再発防止を要請した。
養鶏関係10団体は、両者のその後の対応を見守っていたところ、日本テレビは10月1日、正午からの番組「おもいっきりテレビ」(司会はみのもんた氏)で、健康に良い朝食の食材として『生卵』を紹介。番組に出演した磯子中央脳神経科病院健康管理センター長の土田隆博士が、『生卵を冷蔵庫から出し、常温で約10分間置いてから温かいご飯にかけて食べるのが、健康に一番良い食べ方』と解説した。
生卵の良さを紹介した「おもいっきりテレビ」と、鶏卵のQ熱について報道した「ズームインSUPER」の担当プロデューサーは同一人物であるため、養鶏関係10団体の“抗議に配慮した内容になった”とみられる。
西野善雄大田区長は、「大田区職員によるQ熱についての記者会見について」と題する謝罪文書を、10月8日付で養鶏関係10団体に寄せた。
日本テレビと大田区のその後の対応は、養鶏関係10団体が一丸となって厳しく抗議した結果によるものとも思われるが、鶏卵とQ熱をめぐる騒動は、これで終結したわけではない。
今後も鶏卵に対する誤った見解や、非科学的な内容の発表などがあるものとみなくてはいけない。このため、鶏卵業界はさらに一致団結し、抗議や要請のための確たる資料や、裏付けのある情報を準備して、断固たる態度で臨む必要がある。
また業界内はもとより、消費者や量販店のバイヤー、さらにはマスコミに対する鶏卵の正しい知識の啓蒙・広報活動も、これまで以上に重要といえよう。