3000平方メートル以下は建築確認不要へ 農水省
畜舎建築特例法の省令検討
農林水産省は6月24日に食料・農業・農村政策審議会の畜産部会を開き、畜舎建築特例法、みどりの食料システム戦略、持続的な畜産物生産の在り方検討会の中間とりまとめの概要について報告した。
畜舎建築特例法は、畜舎建築利用計画の認定制度を創設し、認定を受けた計画に基づき建設・利用される畜舎等(堆肥舎も含む)に関して建築基準法の特例を認めるもので、第204通常国会で5月12日に成立し、同19日に公布された。
同省では、畜舎等の利用基準や技術基準などを定める省令を検討しているが、現行の建築基準法では、都市計画区域外で、木造500平方メートル、その他(鉄骨等)200平方メートル以下は不要とされている建築確認については「3000平方メートル以下は不要とする」方向で検討しているとのこと。出席した委員からは「3000平方メートルより、もう少し広ければよかったが、この法律ができたことは本当によかった。今後に期待している」との意見が出された。
同省では今秋に省令の原案を示し、パブリックコメントの募集などの手続きを進め、来春の施行を目指すとしている。
みどりの食料システム戦略は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するため、5月12日に策定したもので、2050年までに目指す姿として、①農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現②化学農薬の使用量(リスク換算)を50%削減③化学肥料の使用量を30%低減④有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大⑤2030年までに食品製造業の労働生産性を最低3割向上⑥2030年までに食品企業における持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現――などを掲げている。
持続的な畜産物生産の在り方検討会の中間とりまとめは、今後わが国で持続的に畜産物を生産するための各種課題を示したうえで、みどりの食料システム戦略に位置付けた技術開発を含め、各段階でそれらの課題に対応するための取り組みを提示したもの。
持続的に畜産物を生産するための課題としては畜産に起因する環境負荷、高齢化などに起因した畜産経営の労働力不足、輸入飼料への過度な依存などを挙げており、それらの解決に向けて、①家畜の生産に係る環境負荷軽減等の展開(家畜改良、飼料給与、飼養管理、家畜衛生・防疫)②耕種農家のニーズにあった良質堆肥の生産や堆肥の広域流通・資源循環の拡大③国産飼料の生産・利用と飼料の適切な調達の推進④有機畜産の取り組み⑤その他畜産物生産の持続性に関する取り組み(農場HACCP、薬剤耐性対策、アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理の普及、畜産GAP認証など)⑥生産者の努力・消費者の理解醸成――などに取り組むことにしている。