鶏改良推進中央協議会を開く 家畜改良センター岡崎牧場

全国から約100人が集まり、国産鶏種の普及に向けた各地の取り組みが発表された

(独)家畜改良センター岡崎牧場(山本洋一場長)は9月19、20の両日、愛知県岡崎市の自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンターで令和元年度「鶏改良推進中央協議会」と「地鶏・国産鶏種普及促進ネットワーク会議」を開き、各都道府県の畜産研究機関の研究者や行政の担当者ら約100人が出席した。

19日の鶏改良推進中央協議会では、農林水産省生産局畜産部畜産振興課の赤松大暢課長補佐が台風15号の被害対応などで出席できなかったことから、代理の同課畜産技術室の安藤寛哲係員が「中央情勢」、岡崎牧場業務課の稲生哲検定係長が「岡崎牧場における育種改良の現状と今後の方向」、同課の山西真樹調査役が「都道府県が実施する卵用鶏改良増殖の取り組み状況」、兵庫牧場業務課の榛澤章三課長が「兵庫牧場における育種改良の現状と今後の方向」と「都道府県が実施する肉用鶏改良増殖の取り組み状況」、同課の野方博幸課長補佐が「都道府県における調査試験実施状況(兵庫牧場)」、岡崎牧場業務課の山本力也課長補佐が「岡崎おうはんの最近の状況、種鶏(在来鶏)の配布」、農研機構畜産研究部門の高橋秀彰上級研究員が「肉用鶏育種開発分科会」、北海道立総合研究機構畜産試験場の森井泰子主査が「肉用鶏飼養管理分科会」の活動内容について報告。基礎生物学研究所の成瀬清特任教授が「IBBP・生物遺伝資源の保存に関する取り組み」について紹介した。

20日の地鶏・国産鶏種普及促進ネットワーク会議では、家畜改良センター岡崎牧場の山本洋一場長があいさつの中で、国産鶏の改良・普及状況について「卵用鶏については、後藤孵卵場さんのさくらやもみじなど、外国鶏と比較しても遜色ない鶏が作られ、岡崎おうはんや名古屋コーチンもある。肉用鶏についても、各地の地鶏や、はりま、たつのなどが開発されている。ただ、普及面では、国産鶏種のアピールポイントは明確になっているが、強力な外国鶏種に苦戦し、国産鶏種のシェアは卵用鶏で4%程度、肉用鶏で1~2%程度となっている。この状況をブレイクスルーするためには、アプローチの1つとして、直売の取り組みや、JASや地理的表示(GI)などの認証制度の活用が挙げられる」と述べ、㈲熊野養鶏(愛媛県四国中央市)の熊野憲之社長が「これからの直販」をテーマに講演。茨城県畜産センターの山下薫主任が「奥久慈しゃものGI保護制度登録」、(公財)東京都農林水産振興財団青梅畜産センターの小山充センター長が「東京しゃも生産組合におけるGI取得の取り組み」について報告した。

同会議で示された、2018年の地鶏などの開発組織数(速報値)は、前年と同じ39(うち都道府県37、民間2)、銘柄数も前年と同じ52(都道府県49、民間3)、年間出荷羽数は前年比2万8000羽(0.4%)減の689万8000羽(はりま・たつのを加算すると同5万1000羽減の1017万8000羽(肉用鶏全体の1.4%)。卵肉兼用種の年間平均飼養羽数は同1万羽増の13万7000羽となった。