自動的にせせり肉採取する『トリ・ドリ・ミドリ』 マトヤ技研工業が開発

作業者は鶏の首部分を『トリ・ドリ・ミドリ』にセットするだけ

6月12日から15日まで開かれたFOOMA JAPAN展(本紙前号既報)では、出展各社が機器で技術力を示すなか、マトヤ技研工業㈱(益留福一社長―本社・鹿児島県曽於市)は鶏の首からせせりを採取する『トリ・ドリ・ミドリ』のデモンストレーションを行なった。同機は特許出願中で、今秋の発売を予定している。これまでも鶏ボンジリ自動脱骨機や、チキンホルモンの切開・洗浄機など〝オンリーワン〟の価値を市場に届けてきた益留社長に、商品の特長を聞いた。

せせりは味の良さと独特の歯ごたえから主に外食・中食市場で好まれるが、1羽からわずかしか取れず、また、処理の手間もかかる部位。さらに昨今の人手不足もあって製品化されずに捨てられることも多いそうで、益留社長は「せせりの人気を考えると非常にもったいない」との思いを強くしたという。

そこで約半年前から、同社の食肉処理技術を生かして『トリ・ドリ・ミドリ』の製品化に着手。FOOMA JAPAN展では試作機を披露し、実際に稼働させて益留社長自らが鶏肉生産者や加工メーカーから感想や要望などを聞いた。

作業者は鶏の首を同機にセットするだけで良く、小肉は自動で切り取られて、鶏ガラと別々に排出される。同機のサイズは幅134センチメートル×奥行き121.5センチメートル×高さ159センチメートル。益留社長は設置・使用時のイメージについて「鶏の首部分を処理ラインからターンテーブルに流し、そこで作業者1人がセッティングする。1時間に2500~3000羽分のせせりを取ることができる」と話す。

またHACCPを意識し、洗浄作業がしやすいよう、各ユニットは工具を使わずに取り外せるようにした。価格については現在検討中だが、せせりの価格と人件費を考慮したうえで、すべての購入者がペイできる範囲内に抑えたいとのこと。

益留社長は同機を通じて鶏肉業界の利益に役立ちたいとし、「せせりは1キロ700円以上で売れると聞いている。同機を国内で100台は販売したいし、せせりの人気と、提供する焼き鳥店が増えていることを考えると、それ以上の設備導入も期待できる。せせりがガラと一緒にされて〝お金にならない〟のはあまりに惜しい。同機で鶏肉業界に貢献し、せせりの良さをもっと多くの消費者に知ってもらえれば」と話していた。

問い合わせはマトヤ技研工業本社(電0986-76-0018)へ。