箱根で養鶏研究大会 日本養鶏協会関東甲信越

危機管理の重要性なども共有

各県の鶏卵生産者や孵卵、育すう・育成、成鶏処理、飼料、薬品、機器関係などの約200人が参加した

(一社)日本養鶏協会の関東甲信越地域協議会は(会長=鈴木憲一茨城県養鶏協会会長)は10月15、16の両日、神奈川県箱根町のホテルおかだで養鶏研究大会を開き、同地域の鶏卵生産者や関係者ら約200人が参加した。

開会前に小林健一事務局長が、参加者の中には台風15、19号の被災者も多く、出席できなかった会員・関係者もいると報告。開会のあいさつで宮澤哲雄副会長(〈一社〉千葉県農業協会養鶏部会部会長)は、多数の犠牲者の冥福を祈った上で、甚大な被害を受けた千葉の生産者代表として「台風の直撃後には多くの方々に死鶏の処理や片付けなどで協力をいただいた」と感謝の言葉を述べた。

参加者を歓迎した(一社)神奈川県畜産会養鶏部会の鈴木光雄部会長も、被災した農場や事業所を気遣い、「本日は急きょ来られなくなった方が25人ほどいる。大会を開くかどうかで悩んだが、会場が無事だと分かり、予定通りの開催を決めた。宮澤副会長からは『台風15号の養鶏被害は8年前の震災より大きい』と聞いているし、台風19号では長野の千曲川が氾濫するなど、大変な被害が出ている。ただ、皆様に集まっていただいた以上は、講演会でしっかり勉強してほしい」とあいさつ。

続いて同協議会の鈴木憲一会長が、茨城県などの生産者も2度の台風被害に遭い、停電が発生した農場もあると情報共有。危機管理の重要性については「普段から、自分たちが被災した時にどうするのかを考えておかなければならない」と指摘するとともに、「当業界は年明けの低卵価から大変であったが、自然災害も起きてしまった。しかし『養鶏家は頑張っているんだ!』ということも含めて、大会を開催できればありがたい。懇親会では、色々な問題への意見交換もしてほしい」とのメッセージを送った。

来賓として出席した神奈川県環境農政局農政部畜産課の髙尾健太郎課長と、日本養鶏協会の齋藤利明会長(代読=阪本英樹事務局長)があいさつ。このうち髙尾課長は、台風被害による停電と断水で、特に千葉県で多くの採卵・肉用鶏が死亡(同県発表で約48万羽)したことに触れ「私たちも悔しい思いで一杯。被災地の一刻も早い復旧を祈っている。神奈川県も2度の台風で被害が出ており、県としても被災施設の復旧と修繕を何とかできないかと考えていたが、国から激甚災害に指定されたため、明日、神奈川県議会の本会議で要請予算として要求させていただく。国と地方自治体が出すべきところは出して、少しでも皆様方の力になりたい」などと述べた。

齋藤会長は日本養鶏協会として被害の実態把握に努めているとし「被災地域の情報を集約し、農水省に逐次報告している。同省では停電による被害の大きさを踏まえ、〝非常用電源の導入費用を50%補助する制度〟を立ち上げると聞いている。当協会では、その事業実施主体となるべく準備を進めている」とした。

その後の講演会では、元TBSアナウンサーで現在はフリーアナウンサーの石川顕氏が『一流の人々から学んだもの~真のリーダーシップとは~』のテーマで講演。四国ケージ㈱の井川茂樹社長と、高岡健二営業担当が『弊社が考える畜舎環境対策』と題して、養鶏場のワクモ対策製品を紹介した。

次回開催の群馬県を代表し、都丸高志群馬県養鶏協会会長が「来年は10月29日に福一旅館で開催する。多くの参加を今からお待ちしている」と閉会の辞を述べた。

懇親会は、神奈川中央養鶏農協の鈴木理央理事が進行役を務め、鈴木部会長があいさつ。同農協の彦坂誠組合長は各団体の消費拡大に向けた取り組みを紹介し「来年2月には日本養鶏協会と日本卵業協会が協力し、再びインパックラベルを使った活動を展開したいと考えている。ラベルを通じて消費者の方々に卵の正しい知識や、その良さをお伝えしたい。皆様には、様々な団体から活動への参加要請があると思うが、ぜひご協力をいただき、卵の消費拡大につなげたいと思っている」と述べ、乾杯の発声。この間、なごやかに交流しながら防災対策などについても情報交換。神奈川県トリ研究会の角田隆洋会長(㈱コトブキ園社長)による三本締めでお開きとなった。