福田種鶏場の新孵卵場完成
最先端のシステム導入し『よい雛』追求
㈱福田種鶏場(山上祐一郎社長―本社・岡山市)は、かねて建設を進めていた孵卵場が、このほど竣工し、12月14日付で全業務を同孵卵場に移管したと発表した。
新孵卵場は、山陽道の瀬戸インターや山陽インターに近い岡山市東区瀬戸町にある約1万2000平方メートルの農地を取得して建設したもの。孵卵舎の総床面積は約4000平方メートル。国際的に評価が高いオランダのハッチテック社やビスコン社の孵卵設備を、国内で初めて導入し、さらに『よい雛』が生産できる体制を整えた。
これを機会として、同社創業の地の岡山市福田(現福富西)から、すべての業務を新孵卵場に移管。12月14日から業務を開始した。
最新の孵卵設備導入、床面にもこだわり
ハッチテック社の孵卵システムは、入卵数8万4480卵の大型機を中心に、30台をシングルステージ式で揃えた。研究に基づいた様々な新機構が導入されており、特に温度を精密に調整した空気を均一に送ることができる「ラミナーエアフローシステム」により、孵化まで最適な温度を保つことで、雛が持つ力を最大限に引き出す設計となっている。
空調システムも、ハッチテック社のセントラル空調を採用。孵卵舎全体に陽圧をかけて、微生物の侵入を防ぐとともに、作業動線に沿って気圧カスケード(階段)を設けることで、場内の空気の逆流を防いでいる。
卵内接種機を含む移卵ラインは、世界最大手のオランダ・ビスコンハッチェリーオートメーション社の機器を導入。同国プリンゼン社製の種卵パッカーなども含めて、従来よりも少ない人数で、各工程で1時間当たり3万卵(羽)の作業が可能となった。
雛を保管するための「チックストレージルーム」も国内で初めて導入し、雛を出荷するまでの間も、雛を最適な環境に保つことができるようにした。
同社が衛生管理の要と位置付けている床面施工は、オランダのボリッド社に依頼。床の全面に厚さ5ミリのきわめて堅固な樹脂コーティングを施すことで、耐荷重、耐熱、耐水、耐薬剤と防滑性の両立を実現し、床面の清浄性を担保している(いずれも国内代理店は共和機械㈱)
コロナ禍の影響で、新孵卵場の工事は当初の予定より遅れたものの、11月初旬に竣工。一層高まりつつある国産鶏肉需要に対応するため、すぐに入卵を開始し、最初の雛は12月10日に出荷された。
新孵卵場の住所と電話・FAX番号は次の通り。
〒709-0852 岡山市東区瀬戸町肩脊1139-1 電086-952-0700、F086-952-0707
山上祐一郎社長のあいさつ
山上祐一郎社長は、新孵卵場の落成に当たり、次のようなコメントを発表した。
「当社にとって孵卵施設の更新は念願でした。創業から90年の節目の年に、こうして孵卵場を新築することができましたのも、ひとえにお取引先様のお引き立ての賜物と、心よりお礼申し上げます。
設計にあたっては、何よりも雛の品質を第一とする方針のもと、チャンキー種の特性や孵卵設備の仕様について、徹底的にリサーチしました。国内はもとより世界でも、最先端の孵卵施設ができ上がったと自負しております。
コロナ禍によって外国人技術者が来日できなくなり、工事が半年あまり中断する困難にも見舞われましたが、こうして無事に竣工を迎えられたのも、関係者の皆様方のお力添えの賜物と、感謝の念に堪えません。
本来ならば開業行事を催して、施設を紹介させていただく予定でしたが、新型コロナウイルスおよび高病原性鳥インフルエンザの警戒のため、開催を見送り、略儀ながら書面でのごあいさつをさせていただきます。
今後は、これまで本拠としてきた岡山市福田の地から同市瀬戸町に移り、社是である『よい雛』を追求するため、心新たに雛づくりに専心努力する所存です。今後とも変わらぬ御厚情を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」